コロナ随想ーmRNA

分子生物学の教科書The Cellを読んでいます。動画のない日本語訳ですが。日本語なので、三分の一到達しました。DNAの複製、DNAからRNA, RNAから蛋白、エピジェネティックス、そしてこれらの技術研究手法という流れです。8年前から眺めている、米国国試のあんちょこもこの順で生化学の範疇で概説していました。ようやくアンチョコ内の図表の意味がはっきりしてきました。今のところ人にまつわる病気については、覚えている限りではα―アマニチンという転写を阻害する白い毒キノコの毒、DNAの変異によるマラリア地域に多い血液病(サラセミア、鎌状赤血球)など見たことねーという病気ばかりです。大型スクリーンで教科書を拡大して読んで遊んでいる程度です。第8章のPCRの動画は膝を打つ感大でした。どうやって動画がみれたって?内緒です。90度以上にあっためたり、冷やしたりしてこそのPCRです。精度は悪いとかいいとかは、採取時の問題であって、ウイルスがいれば必ず何万倍に増幅されて証明できる決定的検査です。コロナごとき使用するには恐れ多いほどの精密検査です。常温での臨時核酸検査が廉価で出回っていますが、入院や入国や入場時のスクリーニング検査にすぎません。当院では、いずれ第4波必至ととらえて、本物のPCR機械とマイナス20度の冷凍庫を買います。端倪すべからざるF社(ピーが頭です)-80度ワクチンは知りませんが、その他のコロナワクチンの保管にも利用できます。

mRNAについても勉強しました。何が大変かって、これを作るのが大変です。核のなかでmRNAを作るために、染色体がほぐれ、もつれ、くんずほぐれ、飛び蹴りをしたり、呻吟しながら、その原型を作るや否や、何の因果か、これを半分以上取捨選択し、切り捨て、さらに断片を再集合させ、作成します。小さい核孔から核の外に出す際も、複雑な酵素系の関門があります。全部、リン酸、アミノ酸の極性を利用して水素結合をほどいて戻すなど、化学的に調節しているのです、細胞内の状況に合わせて様々な伝令が核内に連携して、核の中の酵素を整然と何千何万通りの戦略があるということです。要は、飽食なら、感染状態なら、飢餓なら、このアミノ酸が足らねーとか(ーーーオペロン)そういう情報で、mRNAは調節し作成されます。細胞質に出てからは、わりに原始的に数十秒あたりでタンパク質ができます。それでもシャペロン(御者先導者、熱蛋白)などというたんぱく質のコーチが複雑に完成形に督励誘導します。変なたんぱく質がすぐに細胞内でできないように、mRNA作成に関しては厳重にコントロールしているのです。

コロナのワクチンは2週間ぐらいでmRNAを作ることができるようです。変異株も含めてRNA構造はわかっています。機械の中で既成のプライマーさえ与えれば、数時間で原型の作成はできるのでしょう。これに加工を加え微調整することで、短期間で作成できるというのです。これにナノテクノロジーで細胞の壁を無条件に通関入国できるカプセルに入れて、三角筋内に注射することで、ワクチンとしたわけです。宇宙のビッグバンから地球上の火山の爆発とで50億年前からアメーバ→植物→魚→動物の進化の中で、宇宙人以外で細胞の外から見知らぬ遺伝情報を人工的に入れらることはありませんでした。ウイルスは50億年間、他の細胞に入り込んで、自身の遺伝情報を複製しようとしています。我々の遺伝子の中にも何億年かけて組み込まれたウイルス由来のものがたくさんあって、これは種の保存に役立っています。ワクチン内のmRNAからできる蛋白の構造は事前にわかっているようですが、実際にヒトの細胞質で何が起きているかは誰もわかりません。核内には変化を与えないということですが、できたタンパク質が影響を与えるかどうかは数年後や数世代後にわかることでしょう。ワクチン接種後、何らかの抗体ができて、おそらく中和抗体であろう、なぜならどうも悪いことをしないから。ワクチン接種後リンパ節内で抗体産生のための“ざわつき”が証明されている。最新論文ではリンパ節のざわついた電顕写真がありました。コロナでなければ、常温では6時間しか生きられない人工ウイルスを人類全員に投与しようという試みはなかったでしょう。今後、抗がん対策、高血圧対策、特殊な酵素欠損の遺伝病に応用されることになります。何でも丸めて細胞内に投与する医療のはじまりです。