クリーブランドのやせ薬

Pharmacotherapy for obesity: What you need to know

Cleveland Clinic Journal of Medicine. 2017 December;84(12):951-958

アメリカ人の半数は肥満です、病的な肥満度35以上は10%存在します。とくに新興有色のヒスパニックに多く、最近の論文では、白人、黒人、ヒスパニックの順に多いようです。アジア人には少ないのはよく言われることです。肥満度40以上は日本人ではほとんどいません。やせ薬の話がまとめてありました。日本でのやせ薬は、サノレックスというのが認可されています、覚せい剤類似作用のものを、よく認可したと思います。ちなみに、数々の覚せい剤系を認可しているアメリカでは、現在認可されていません。

 BMI30以上あるいは、27以上で糖尿病や高血圧のあるものを対象にいくつかFDA認可しています。4つまとめてみます。

 Phenterrmineは覚せい剤アナログで、全米で一番処方されています。一か月1200円で安いからでしょう。ノルアドレナリンのアナログで1960年からあります。副作用は依存性で本物が欲しくなることと、心血管イベントで、効果は170cm90kgが80kgになる程度です。女性に好まれるようです。

Lorcaserin は2012年に認可された、セロトニン2C受容体で、中枢性に食欲を落とす作用があります。以前上梓された先行品のfenfluramineは心臓は三尖弁に特徴的な線維変化を起こして心臓弁膜症をおこすという奇矯な副作用があるようですが、それは取り除かれているとのことです。副作用は興奮作用、体重は13kgぐらい落ちるようです。

オルリスタット、日本でも有名で、すい臓外分泌酵素を阻害して、脂肪吸収を抑制する薬です。50%脂肪を排出するということです。体重減少効果は先の覚せい剤たちより軽いです、目安は体重の10%下がるようです。糖尿病を抑制する作用あります。副作用は脂肪便と脂溶性ビタミン不足(サプリで補えます)。脂溶性の昔ながらの薬は一緒に流しますので、甲状腺剤、ワーファリンなどは効果が少なくなります。オルリスタットぐらいは、死亡例も少なく、日本で認可してもよかったのに、サノレックスだけ残しました。

Liraglutide は日本にもある糖尿病治療の注射剤、glucagon like peptide-1アゴニストです。週一回注射で一か月12万円かかります。ニューイングランド2015年に結構よかったと書かれており、また紹介します。