脳と心臓病の密接性

Relation between resting amygdalar activity and cardiovascular events: a longitudinal and cohort study ランセット2017年2/25

被殻、黒質、線条体、扁桃体という大脳基底核、大脳辺縁系の上層のあたりの構造物。もう一層下の辺縁系に短期記憶で有名な海馬、乳頭体があります。記憶に関与する働きのネットワークがはられているとともに、扁桃体は情動と記憶の中核を担うとされています。強い情動と記憶の貯蔵の経路で、三つ子の魂百までのような長期記憶の場所です。それだけでなく、脳幹へ交感神経情報をおくるなどストレス、コントロールに重要なところのようです。18F-FDG(フルデオキシグルコース)の断層撮影、いわゆるPET検査ではストレス暴露が明らかな人は、この部位への集中的な集積が特徴的とのことです。また、骨髄に集積があると動脈硬化が強いとされています。300人を募って、PET検査をしました。3年後にもう一度PET検査しました。病気無271人、3年のうちに心血管病22人(糖尿や喫煙など病気の巣窟のような集団でしたが)で前後の変化を比べました。病気になった人は扁桃体、骨髄の集積が別人のようにはっきり見えていたようです。結論:扁桃体はストレスによる動脈硬化を如実に表す脳組織ということでした。脳と骨髄で、ストレスの程度と心臓病が占えるということです。

話はとびますが、他にも脳と心臓の関係をみる確立された検査があります。レビー小体認知症やパーキンソン病での123I-MIBGシンチです。ノルアドレナリンは交感神経末端や副腎髄質からでる交感神経興奮の伝達物質です。通常は交感神経の興奮する腫瘍の褐色細胞腫を副腎などに見出す検査で使用されます。心臓や交感神経に集積するのは当たり前で、いつもより強い集積を認めたら褐色細胞腫の発見につながるという検査です。これがパーキンソン病では、自律神経障害から心臓に集積がなくなるということがあって、これを診断根拠のひとつにします。

脳と心血管は連動しているということが、今後もっと浮き彫りにされて、人間ドックでのがん発見にPETがよくつかわれますが、扁桃体の集積状況も参考項目になることでしょう。

扁桃体と乳頭体と海馬の位置関係がいつもあいまいで、毎回図譜をみて患者さんのMRI画像説明で苦戦していましたが、今回の論文で少しだけですが3次元構造がわかりました。