やせる注射

A Randomized Controlled Trial of 3.0 mg of Liraglutide in Weight Management

ニューイングランド2015年7月2日

日本では糖尿病治療に週1回2mgで認可されている、ヒトグルカゴン様ペプチド GLP-1です。脳と腸管から作られ、血糖降下、中性脂肪低下、悪玉コレステロール低下、食欲減退効果、味覚が鋭くちょいとした甘さがうまく感じられる、胃の運動低下、骨形成↑骨吸収↓、腎保護、腎でナトリウム排泄、心保護、肝での糖新生↓、筋量↑何かいいことばかりの消化管ホルモンです。例のプロバイオの産物の酪酸や乳酸が消化管ホルモンのGLP-1を促進するようです。

 脳からも分泌されており、ケーキを眺めた瞬間に放出されるのか、摂食後の的確なインスリン分泌にも関与しています。胃袋には抑制的に働いて、食欲をなくす効果があります。これを利用しての痩身薬で、糖尿病治療より多めの3mgで週一回自己注射したようです。27か国(もちろん日本は入っていません)3730人で1年強の期間、二重盲検試験をしました。1年間やせるかもしれないと期待して、生理食塩水かなんかを打った方々は気の毒です。効果は、まずまずでした。だいたい100kgの集団で、本物は10kg程度減、偽物も2kg減っている人もいました。血糖値、悪玉コレステロール、血圧も適切に下がっていました。副作用は、絶食によるダイエットでよくみられる、胃の運動機能障害による胆のう胆汁うっ滞による胆石症が重篤なもので(0.8%)、その他はほぼ全例むかつきでした。欠点は月に米国では12万円かかることと、打つのをやめたら、また食欲が戻って、体重が復活することでしょう。日本の価格はあくまでも概算ですが、元値が一か月13000円で健康保険3割負担なら4000円です。現行で糖尿病治療中の方ですと、注射の指導管理なども含めますから、月に薬代とで6~7000円増しになります。肥満糖尿の若年層で、膝や腰の負荷がひどい患者さんに、2mgで使ってみようかと思います。