クリニカルケースes

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Case 18-2018: A 45-Year-Old Woman with Hypertension, Fatigue, and Altered Mental Status

最新号の症例報告です。丁度、専門学校授業でクッシング症候群(副腎皮質ホルモン分泌過剰で副腎皮質過形成や癌)、クッシング病(副腎皮質刺激ホルモンが下垂体や肺がんなど異所性に分泌されて両側副腎皮質過形成)を教えていたので、タイムリー。ただしステロイド糖尿や、ステロイド高脂血症、ステロイド骨粗しょう症、ステロイドヒラメ筋血栓症などは、個々の患者さんでしばしば遭遇します。しかし45歳で意識障害、急性心不全、体重減少で急に来られると、マサチューセッツ総合病院(MGH)の医師も数週間かけて治療をしているようでした。肥大型心筋症、肺梗塞、体重減少、高血圧(低カリウム、アルカローシス)で入院です。ピル内服中に高血圧を認めて、ピルの副作用かと考えられて中止して、家庭医からACE阻害剤投与されるという経緯があります。そこからドクターハウスばりにMGHの先生は、診断プロセスを展開してきます。教科書的なホルモン負荷試験で中枢性か末梢性かを診断するようなことは、今回は書いてありませんでした。アルドステロン症でないとして、糖質コルチコイド過剰でも、高血圧や男性化や心筋症はおこると考えます。ほらCTで両側の副腎皮質が腫れてるよ。しかし何でやせるのか?脳下垂体異常なく、結局縦隔腫瘍からの異所性の刺激ホルモン分泌ということでした。勉強になったのは、副腎皮質ホルモン投与では太る、高血圧、骨粗しょう症、血栓症だけでなく、心筋症やアンドロゲン作用などがあるということです。人によって、副腎皮質の3つの鉱質作用、糖質作用、性ホルモン作用のどれが出るか気をつけなさい。またピルにて生理が止まると、逆に黄体化ホルモンが上昇、すなわち性腺刺激ホルモンは生理を起こそうとして、分泌量が増えてしまって、かえって両側副腎皮質過形成を促す。だからピルは長期内服で土偶体型になるといわれるのかがわかりました。