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Association Between Use of Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitors, Glucagon-like Peptide 1 Agonists, and Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitors With All-Cause Mortality in Patients With Type 2 Diabetes

A Systematic Review and Meta-analysis

英国の研究を載せています。JAMA 2018 4/17

十二指腸K細胞からのGIP、小腸L細胞からGLP-1が分泌されます。セクレチンファミリーのインクレチンというくくりで呼ばれます。ホールケーキ一つを目の前にします。 脳からの刺激でガストリンが胃から分泌され、胃酸を上げて、いまからやってくる食べ物を処理しようとしはじめます。遅れることすこし、十二指腸からセクレチンも分泌を開始して、来るべき、脂肪の分解や急激に糖質を吸収するためにインスリン分泌を膵臓β細胞に働きかけます。食べ物が到来すると、その補強としてインクレチンが活動し、糖質吸収と血糖上昇ホルモンのグルカゴン抑制を促すわけです。糖尿病でない人は、ホールケーキ一個をドカ食いしても、血糖値が上がらないのは、セクレチン→インクレチン→インスリン大量放出のメカニズムがあるからです。DPP4阻害剤はインクレチンを分解する酵素のDPP4を阻害することで、インクレチンの働きを長持ちさせる薬です。10年前から出現して、日本人のように小食小柄でインスリン大量消費しないアジア人では、副作用なく血糖値を抑える薬で爆発的に処方されるようになりました。ホールケーキ大人喰いするような食生活の欧米人の糖尿病患者では、物足らないので、単剤で糖尿病コントロールできるはずもなく、糖尿病の合併症予防もないとして、だんだんディスられはじめています。GLP-1は週一回注射剤ですが、糖尿病以外にも、FDAは単純なやせ薬として認可しており、低血糖発作リスクも少なく、胃の運動抑制による食欲低下、肝臓糖新生抑制、筋肉を太らせる、心機能改善など欧米大人気薬になっています。腎臓では血液を糸球体でろ過しますが、原尿はナトリウムやブドウ糖など極めて濃い状態ですが、近位尿細管で90%再吸収されて、そのあとも、基本的には体内に少ないナトリウムは捨てない、水を捨てるのももったいない、カリウムは体にいっぱいあるからすてるという作業で、本当の尿を作ります。能動的にブドウ糖とナトリウムを取り込むのを阻害するのがSGLT2阻害剤です。小腸でもSGLT機構あるのですが、直接的なブドウ糖取り込み阻害剤はまだできていません。甘い小便、尿糖を出させる薬で、夏のご婦人の尿道膀胱炎などが先走りして躊躇される向きもありましたが、発売5年ぐらい経過しますが、徐々に浸透している感じです。副作用は腸には効かないはずなのに、腸閉塞などといわれても?また脱水による事故のような副作用も散見されるようです。当初は肥満体の若年者に使われていましたが、ナトリウム排出などから、降圧心臓病予防の利点があるとされて、現在では高齢者にも徐々に使用しています。飲み薬で、血圧も体重も落ちるならということで、欧米人では人気の薬になっています。個人的にはGLPは注射でやりたい人は限られるし、SGLTはやせた糖尿病の方には処方しにくいし、DPP4はすでに出しているし変更してまでするなら、他の既存の薬を併用しようかな、という感じです。

 論文では236個の論文を集計し17.6万人のデータで、死亡率心血管合併症、で第一位SGLT2阻害剤、二位GLP-1注射剤、三位コントロール群よりややましなDPP4阻害剤という、表が満載されていました。DPP4阻害剤がジェネリックになりそうになると、こういう論文が出て、新しい薬の評価を高めていくという、かんじでしょうか。5年後はまたいい薬が出て、第一位も第二位もまたその地位を陥落させられるのでしょうか。