なだめる前頭葉

Post- Traumatic Stress Disorder ニューイングランド 2017年6月号

ケガや傷害事件や戦争体験などの心身の突然のストレスで、発症するのがPTSDです。いつも焦燥し集中力を失い、二度とその恐怖を味わいたくないために行動にも変化が出てきます。恐怖をコントロールするのは大脳皮質の前頭葉にあるという絵がでています。恐怖になりそうだと察知するのが前頭葉のより深部の前帯状皮質(喜怒哀楽を察知してコントロール、ex葬儀の席での表情のコントロール)と島皮質(喜怒哀楽を特に感じ高次脳機能と連携)と扁桃体にあるようです。扁桃体の記憶が、一夜漬けの海馬領域の記憶より長持ちして、実力テストで大事になるというのは良く知られています。社会的に是とされる記憶が長期に蓄えられるのはいいですが、恐ろしい記憶が扁桃体に焼き付くと、匂い刺激視覚刺激音刺激などが引き金になって、高次前頭葉の制御がきかない、情動や行動の発現があるということです。この大脳辺縁系や中脳を前頭葉がまあまあとなだめるメカニズムがあることを認識すると、極端な怒りや悲しみで、あらぬ行動に走るというのを防ぐ効果があるかもしれません。扁桃体を鍛えて記憶力アップも大事ですし、前頭葉を強くして感情のコントロールも社会生活には大事でしょう。