オキシトシンその2

Music and the Meeting of Human Minds  Front. Psychol., 16 May 2018

心理学の論文で、ヒトはなぜ集い歌うのかという論文です。心理学的論文を列挙して、その一つ一つにどの程度の医学的根拠があるか不明ですが、オキシトシンと音楽について一節述べていました。オキシトシンはふれあいのホルモンですが、歌手の唾液のオキシトシンを調べると、ソロの方がコーラスより多いオキシトシンがでているようです。さらには即興のセッションの方が多くのオキシトシンが出ているようです。

Oxytocin promotes group –serving dishonesty 2014 PNAS 4月号

オキシトシンは母性ホルモンゆえなのか、味方を守るために、排他的で不実になれる。医院のコラムとしては少し微妙な内容で、各自で眺めてください。

Oxytocin promotes human ethnocentrism PNAS2011年1月号

オキシトシンは集団同士の彼我を分けるの効果があって、他人種への感情を隔てる。

実験として何十人かの集団にオキシトシンスプレーを振りかけて、社会実験を行うというもので、こうなると、医学ではなくて心理学でもなくて社会学になるのか、正義とか倫理と、母性ホルモンなど興味深い限りです。妊婦以外はオキシトシンを犬や人に振りかけても、ほとんど無害なのかたくさんの研究が、心理学者や政治学者からもでています。

Specificity of the neuroendocrine response to orgasm during sexual arousal in men. 2003年 内分泌学会誌2003年では、ドイツの真面目な精神医学教室からの論文ですが、男性の興奮後のホルモンレベルを調べて、オキシトシンやプロラクチンを測定しました。愛情深い行動をした後に、性ホルモンは上昇しないが、オキシトシンやプロラクチンが上がるということです。

ネット上でオキシトシンスプレーなどで回っています。すぐに、よからぬ方向を考える人たちが、よからぬ使い方を試みているものと思います。きっと、愛を感じるから分泌するのがオキシトシンであって、オキシトシンを鼻にふったら愛情が芽生えるなどと曲解してはいけないと思いました。これら、ホルモンと心理学と遺伝学と社会学を組み合わせて、上手に書くと新書のベストセラーができるのでしょうが、根気と文才がないし無理だと諦観。一つのホルモンの効果、一つの遺伝子分散などを横軸、縦軸にトピックになる集団心理行動(性行動、行動生理、集団心理、社会性)の組み合わせで、面白い研究ができていると思いますので、いくつか文献を集めてみます。