親愛と排他のオキシトシン

Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds.

麻布獣医大学 2015年サイエンス誌にのったものです。

誌上のHow dogs stole our hearts というコメントは無料でしたので、これを読みました。

またライフサイエンス要約のサイトにも乗っていたものを参考に、作文しています。

oxytocin, a hormone that plays a role in maternal bonding, trust, and altruism.

オキシトシンは母性本能をくすぐる絆ホルモン、信頼のホルモン、あばたも笑窪とさせるホルモン(排他的ホルモン)。

一匹狼の屈強なネアンデルタール人は死滅し、弱っちいけど心優しくチームワーク豊かなクロマニヨン人が現人類の祖先になりました。ヒトはチンパンジーとほとんど同じDNAですが、集団行動においてはクロマニヨン特有の寛容な部分が多いようです。犬は狼から分家し、諸説ありますが5000年前家畜化(ドメスティケーション)されました。ただ単に番犬や狩猟犬として飼われるだけでなく、人間の生活を邪魔せずにうまく家族の一員になる気質を備えるようになっています。それこそ犬猿の仲にならずに、仲良しの犬とヒトという関係があります。

この論文は、ペットとのアイコンタクトの話です。クマさんに出会ったら、目を合わせずに視線をかえずにゆっくり後ずさりして、消えてゆく。猿の目を見たら引っ掛かれるとかの話です。見ず知らずの人の犬をじっと見ると、吠えられます。しかし ペット犬 と目を合わせ、じっと見つめる時飼い主は、愛着を常に覚えます。犬は飼い主だから、お勤めとおもって嫌々、半ばあきらめて、目を合わせているのかという意見もあるでしょう。そうではなかったのです、じっと目を合わせた後の犬の尿から、オキシトシンが多めに分泌されていることがわかりました。アイコンタクト後に、飼い主もワンちゃんもそれぞれ尿のオキシトシンを測定したようですが、ワンちゃんのオキシトシン増加率は30%でしたが、人間は200%で3倍になったようです。人の方が舞い上がっているのでしょうか。犬の方が冷静ですが、愛情ホルモンはちゃんと双方で分泌されていました。