ピックルスと漬物 | 医療法人社団 こうち医院

ピックルスと漬物

アメリカがん協会では、ピックルド野菜(漬物)などの保存食の連日大量の摂取は胃がんの原因になると書いてありました。漬物や発酵文化のない国のたわごとかと憤慨して、調べてみました。しかし気候不順の北欧やすぐに腐敗のすすむ南欧などには古より、発酵や貯蔵術(curring)があります。ヨーグルト、サワークラフトなどの酢漬け、燻製、塩漬け肉にニトロをいれてボツリヌス対策と色調安定などヨーロッパ系の保存技術があるわけで、浅薄な意味でのpickled vegetables & foodと言っているのではないと勉強しました。一夜干し、ぬか漬け、鰹節、みそ、醤油など東洋の至宝ともいえる貯蔵発酵産物の差し控えを米国人に啓蒙しているわけではないと考えられますので、そこんとこ調べました。

Pickled Food and Risk of gastric Cancer-a Systeatic Review and Meta-analysis of English and Chinese Literature 癌疫学バイオマーカーと予防という雑誌 2012年 過去の発酵食品まとめのなかで一番でした。ピロリ感染率が東洋より低めで胃がんの少ないリヨンの先生とアメリカの先生とイランの先生などが、東洋発酵食品と胃がんの関係について考えてくれたようです。インパクト4点の雑誌です。319件の文献を調べたようです。冒頭に胃がんは東洋の病気で、ピロリが原因というのがあたりまえだが、それを助長するのが発酵した漬物ではないかという仮説から始まります。60件に厳選して、危険率をしらべますと、胃がん発生率は発酵食品常用(その程度がまちまちですが、なんとか統計ソフトを調整して)にて50%増しになるとの報告です。キムチはピロリとの関係など韓国の大学では心配しているようです。ザーサイしか存じ上げませんが中国の発酵野菜も、場所によれば野菜と言えば漬物をさすようで、胃がんとの関係性が心配されるようでした。ピロリ検査と絡めていないので、発酵食品とピロリとの関係は類推にすぎないと考えておきます。それよりしょっぱさと関係ないだろうかと思いました。

Fresh and pickled vegetable consumption and gastric cancer in Japanese and Korean populations: A meta-analysis of observational studies 日本癌学会誌 2010 4点の雑誌で、韓国の大学の研究です。新鮮野菜 対 漬物と胃がんの関係についての論文、発酵食品は胃がんを増加させる結果を80本の論文から導き出したようです。発酵にてビタミンCなどが抗酸化に使われて、胃の壁のビタミンC濃度が落ちるからとか、食塩がそもそも多い韓国と日本ではピロリが生き生きと働くため胃がんがキムチや古漬けで増えるということのようです。増える頻度はごくわずかで、毎日鬼のように食べることをやめるのと、醤油かけたりする代わりにレモンを絞ったり、酢をかけたりしたらよいのでしょう。動物実験では

High-Salt Diet Induces Gastric Epithelial Hyperplasia and Parietal Cell Loss, and Enhances Helicobacter pylori Colonization in C57BL/6 Mice1 権威あるCancer Research 1999年に食塩負荷にて胃の粘膜のピロリが生き生きするというものがありました。ピロリ感染のネズミにしょっぱい食事 対 甘塩で胃の粘膜を見た研究があります。塩でピロリが生き生きする理由はあまりわからないようでした。そのほかいろいろ論文を読みましたが、発酵にてニトロソアミンが増えてピロリを活性化させるなども面白いので、また後日保存料と発がんなどを調べて報告します。

 まとめのまとめ、塩分多め保存食品依存+ピロリで胃がんの危険というのはありそうです。毎日キムチをひと瓶食べたり、古づけに醤油をかけて熱いお茶漬けをかきこむなどは、食道から胃袋に攻撃を加えるようなものということを今回は勉強できました。