慢性疼痛とMarijuana

Medical Marijuana for Chronic Pain 2018年10月18日 NEJM

慢性疼痛に対する、マリファナ使用についての、真面目な解説。

31歳女性、右下肢の痛み、でガバペン600mg、オキシコドン(日本では癌性疼痛のみ適応、某自動車メーカーの外人女史が個人輸入して問題に、ドクターハウスの常用薬)20mgはかなりの量になります。ガバペン量は増量可能でしょうが、オキシコドンはこれ以上ですと、依存性の問題が強い。という患者についての、どうしたらいいのでしょうか?という問題。

一方は民間クリニックの先生の意見。医療大麻の基金設立した会社の先生。鎮痛効果についての、根拠が動物実験の論文を引用しているのが、弱い。また吸入の方が、経口より効果があるようであるが、吸入は植物を燃やすわけでタバコと同じ肺疾患リスクを合併するので、経口薬を推奨、少ししどろもどろ。

一方はボストン有名病院の麻酔科先生。若年使用例での、晩期に発症する精神分裂病や草を吸うことによる呼吸障害、経口薬では薬物利用率(バイオアベイラビリティ)が15%程度しかないこと。堅気の病院の先生が、合法ムードの米国でも、やはり推奨できないというのが本音のようです。多幸はあっても、他の麻薬使用を減量するほどの代替はなさそうということです。

ニューイングランドでは2014年に大麻の副作用特集 Adverse health effects of Marijuana use。米国人12歳以上で12%が昨年に吸ったかクッキーを食べたか何かしているようです。依存性が9%という低めの数字がでています。ニコチン依存より軽い数字です。急性期の中毒症状はアルコールと同じ、酩酊多幸による交通事故が年々増えているとしています。救急外来受診は大麻、コカイン同等でヘロインはその半分でした。大麻コカインは血圧低下せずに車に乗れて、ハイになって運転して事故を起こして救急受診というパターンです。ヘロインはおそらく、呼吸停止で救急受診するまでもなく警察の霊安室直行なのでしょう。長期副作用は認知症や、学力低下による退学や離職、晩期の精神分裂病としています。医学利用としては、緑内障、エイズの患者の食欲亢進、慢性疼痛、多発性硬化症の電撃痛緩和、難治性てんかん治療などが表にでていました。

Cannabinoids for medical use a systematic review and meta analysis. 2015アメリカ医師会雑誌6/23に医学的効用についてのメタ解析がありました。23754の大麻に関する論文と抄録を吟味、ゴミや不十分なものを除いて、プラセボ比較をしている79個に厳選しました。化学療法における制吐、慢性疼痛、多発性硬化症に関する論文が多くを占めました。化学療における制吐、鎮痛効果、エイズの人の体重増加などに効果があったようですが、副作用のめまいや変な吐き気は必ずともなうため、効果は限定的としています。