新型インフルエンザなど

クリーブランドのインフルエンザ総説 2018年11月11日

優秀な先生のそろった病院のインフルエンザ総説、日常臨床から最新のワクチン開発まで網羅していました。箇条書きで大事と思ったところを少し。

  • 昨年はA型のワクチンが効果悪く、全米でいつもの2倍の入院患者数で、病気を持つ子供が171人死亡したようです。耳下腺炎のような症状を呈する場合があって、おたふく風邪ではないのですが、耳の後ろが痛い高熱もインフル検査をしましょう。
  • ペットや家畜が野生動物の何倍もこの地球上に生息していますが(ベストセラーのホモデウスより)、人のインフルがペットに感染して変化して、新種として人に蔓延する可能性があるようです。かわいいペットですが、感染源になることも知っておきましょう。
  • 中国の一部でH7N9という新種A型が出現しています。1600人で37%の死亡率、ニュースーズウイーク10月号。調べてみます。
  • 湿気を与えてもインフルエンザの制御はできないとか、機内密閉で全員感染するような映画がありましたが、そんなことはなく近い席から感染するという、研究を紹介。
  • 今年の南半球では例年通り香港A型がメイン
  • 弱毒鼻吸入の生ワクチンは昨年は豚インフルエンザ(H1N1)に効いていなかったが、本年からは有効のようです。
  • 地域で70%ワクチンをしたら病気は制御できる、インフルエンザについては29人うつと一人の感染が防止できるというものです。NNT(ナンバーズ ニード ツゥー トリート)の概念です。高血圧での合併症予防では100人投薬して一人合併症が予防できるわけですから、インフルエンザワクチンはかなり効果的と思います。
  • 高齢者にクーポンを配布してワクチンを勧奨していますが、高齢者は抗体獲得がむつかしく、2-3倍の高容量ワクチンか、卵など不安定な作成法でないイヌの腎臓とか虫などに感染させたレコンビナントの方が大量生産と抗体獲得効果が高いようです。卵は設備や時間や安定性が悪いというような論文を以前紹介した通りです。また毎年うつと抗体獲得効果が昔から得られにくいという説がありましたが、antigenic distance hypothesisがメタ解析で示されたようです。ワクチンの質、ワクチンの量、うつ回数など方向転換がインフルにおいては必要です。パンデミックに備えて。
  • コレステロールの薬を飲んでいる人は呼吸器系トラブルに進展しやすいとか、空軍の家族に先のリコンビナントタイプのワクチンをしているが今後の動向はどうかなどなど