医療用整腸剤のエビデンス | 医療法人社団 こうち医院

医療用整腸剤のエビデンス

医療用整腸剤による効用や如何

Probiotics for the Prevention and Treatment of Antibiotic-Associated Diarrhea

A Systematic Review and Meta-analysis 2012年JAMA

抗生剤の影響による下痢の治療における整腸剤の役割の論文です。82のトライアルをまとめました。厳選して63個のトライアルで述べ11811人で検討しました。40%は抗生剤による下痢を防いだとしましたが、患者背景、使用抗生剤などから、推奨に値する程度にとどまっています。抗生剤による下痢の定義が一定でなく、効果判定や使用プロバイオが多岐に及んでいて、玉石混交の状態です。世界中の医者が、下痢には整腸剤が必要という概念があることが、勉強になりました。

Lactobacilli and bifidobacteria in the prevention of antibiotic-associated diarrhoea and Clostridium difficile diarrhoea in older inpatients (PLACIDE): a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trialランセット2013年10月

重症な65歳以上の設定で、抗生剤投与時に整腸剤を与えるか、偽薬を与えるかという検討をしました。1470人対1470人の対決です。抗生剤による下痢は双方10%で有意差なし。抗生剤の下痢で一番致死的なクロストリジウムによる腸炎(偽膜性腸炎)は1%前後でした。英国でも多種多様の抗生剤をふんだんに使用していました。他の高級医学誌で、整腸剤の一抹の効用を認めていることについては、否定はせず、ただただ自分たちの論文での設定が厳しすぎたことを、考察で述べていました。

集中治療管理では絶食、胃管挿入状態があって、中心静脈から栄養点滴が入ることが多いです。抗生剤も使うだろうし、ストレス潰瘍防止に胃酸を制御する投薬もあるでしょう。もしかしたら鎮静剤などで腸管の運動は悪くなっているかもしれません。そういう状態で、胃の管から整腸剤を入れようという試みは、食事もとれていない腸管に意味を成しません。また抗生剤を使用したすぐから、腸内細菌は乱れます、これを赤ちゃんのお腹に生えている細菌の力でなんとかしようとするのも虫が良すぎると思います。経管栄養に整腸剤をまぜると、幾分プロバイオ効果あることは経験ありますが、心臓や肺の悪い人は、誤嚥などがこわく、躊躇する向きもあるでしょう。

 プロバイオは腸管が機能を停止したり、強制的に抗生剤で腸内細菌が変遷されたり、食べ物が取れなくなる、ような事態から慌てて、投与して何らかの効果はないと思います。健常な人々が楽しみながら、ヨーグルトなりなんなりで腸管を養生すると、病気の予防につながるかもしれないという理解ぐらいでいいのではないでしょうか。