戌年にちなんで

Neural mechanisms for lexical processing in dogs 2017年4月 サイエンス

戌年なのでまずは、犬にまつわる論文。オルトメトリクス(英: altmetrics)という論文評価指標があって、学術的だけでなくメディアからも引用されたりすると評価があがるAIでしょうか。科学的価値の高い論文100に選ばれたものです。ちなみに2017年一位はすでに紹介したランセットの、世界各国の炭水化物摂取量と心血管病の相関を示した論文でした(Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study)。

犬に話しかけると喜んだり、逃げたりしますが、口調を聞き分けているなら、その脳における局在研究をハンガリーの科学者が行いました。

13頭の犬の実験で、ハンガリー語で褒めることば一連を一定の法則で(抑揚あり、なし)、おすわりなどの普通の指示語の一連を一定の法則で(抑揚あり、なし)を繰り返して脳の反応を調べたとのことです。ハンガリー語を解さぬ人にも試したようで、ホモサピエンスは大したもので、抑揚や口調などからこれは、褒めことばのハンガリー語をあえて抑えているな、或いは、えらく楽しそうにに”お手“ と ハンガリー語で言っているのだろうなと理解したようです。

MRIや脳波を利用して調べたようです。結論は、1 彼らは抑揚にだまされずに意味を左側頭葉で理解している、2 抑揚などは大脳基底核の尾状葉で感じている、3 報酬としてお目出たい物質ドパミンの黒質線条体で喜んでいる。人間と同じだと言うことが分かったようです。哺乳類の言語能力や左半球優位性の進化過程の解明において、科学的には面白いようです。

犬を飼っています。まだ1歳オスのシュナウザーです。家族の名前、ごはん、さんぽ、お水、ハウス、お手ぐらい理解していると思いますが、側頭葉より食欲と運動の大脳辺縁系の原始的欲求の方が脳内を占拠しているのは、MRIするまでもなく明らかです。