病原体の種類にかかわらず、ワクチンの、効果判定は難しいです。ワクチン打つか打たないか、病原体に感染するかしないか、病院にかかるかかからないか。2の3乗の可能性があります。2万人あたりの二重盲検をしようとした場合、まずひどい合併症が出た段階でワクチンのせいか、ワクチン打たなかったから感染して合併症になったのか、いやいやそもそもの持病のせいかでもめます。しかも2万人を8組の樹形図にうまくわけて統計を取ることは困難でしょう。大勢の風邪ひきの中で、定期ワクチン打った打たない、ウイルス検出に行く行かない、検出陽性陰性偽陰性偽陽性など、空論的な空中戦の論議が展開します。インフルエンザワクチンは発症予防効果が50%というのは確立した見解です。大勢の被検者が正直に病院に行ってインフルエンザのチェックを受けるわけではないので、概ね50%効くというあいまいなまま、30年以上流感のワクチンを我々は行っています。
コロナウイルスワクチンの効果判定は、いまのところ、入院したorしないで、90%という数字で超高い有効性を論じています。ナノテクノロジーを駆使したRNAワクチンで奇跡的に作れたと、株価を急上昇させたぐらいの、奇跡の中和抗体がやはり90%程度認められました。しかしながら、抗体保有と感染徴候との相関関係などを、グラフを見つめて論じれば、なんとペシミスティックな輩と思われることでしょう。二万人の二重盲検で有効と論じられていますが、適切な中和抗体ができていることを証明したり、PCRを何万回もおこないながら、ワクチンが有効であったという論文があればうれしい限りです。また、ワクチンは上腕の三角筋に命中させて、抗原蛋白を筋肉細胞内のゴルジ器官で作成する必要があるようで、筋肉注射です。赤ちゃんのワクチンや、子宮頸がんワクチン以外は、日本ではなぜか皮下注射が主流です。今から解剖学の本を見直して、腋窩神経の走行などを把握して、痛みや機能障害を起こさないように、勉強開始です。女王陛下も、過去の大統領もワクチンの予約リストに入っているのですから、安全性はあるのでしょう、少なくとも、針刺しのレベルでの事故は避ける必要があります。