冠動脈バイパスを人工心肺使って心臓止めてやるか、動かしたままやるかの議論です。
糖尿病患者においてOn pump versus off pump 死亡リスク、心筋梗塞、脳梗塞が有意にOff pumpに多かった。Eur J cardiothoracic Surgery 2016 406 444人の研究USA
NYJMには2017623~2203人の前向き二重盲検試験の検討で5年間の予後はオフポンプの死亡率やイベントがやや悪かった。そろそろエビデンスになってきたのでしょうか。
20年前から心拍動下バイパスどっちがいいか議論があって、現在では心臓止めないバイパスできなければ心臓外科にあらずという時代になりました。止めて安全に良好な視野で震えているのは自分の手だけの状況と、心臓も動いているから震える手も気にならずリズムをとって針を進める。止めてやれば完全に血行再建できますが、拍動下では名手だけが心臓の裏側も安全に血管吻合します。心拍動での手術の際、不慮の心臓事故がおこれば心停止での人工心肺手術になって、弱った心臓に2度の大手術と悪い方向に傾きます。止めたら安全なら止めたらよいようですが、止める手術では大動脈に送血したり、遮断したり、穴開けたり、脳塞栓が圧倒的に多いという、そもそも心拍動下手術発祥の理屈にもどります。自分の技量、患者の状態、世の流れ、よいディバイス、最新の医学知識、周術期管理体制、周術期急変の体制などにあわせてoffかonか考えればいいのでしょう。止めても事故のない先生、止めなくても事故のない先生、どっちも事故のない先生、患者さんに最善最良を自主選択してもらいたくてもできないのが現実。
以下は独り言です。自分が患者ですと狭窄があるからすぐにステントを前下行枝に安易にいれるのはできるだけ避けたいです。血行再建必要となったとしましょう。大動脈がボロボロなら左冠動脈前下行枝には左内胸動脈単独で堂々一生もののバイパスをしてもらいたいです。心臓の裏の拍動下バイパスとなるともう一本反対側の内胸動脈で上手にできる先生にあたりたいです。自信のない場合は、裏は腕のいいカテ師に間を置かず後始末頼みます。大動脈がきれいなら、ポンプを回しましょうか。前下行枝に内胸動脈一本きめてもらいます。他の部位は大伏在静脈で有意狭窄に2か所以内で上手にバイパスしてもらいたいです。手術も適度なスピードで丹念にお願いします。再開胸になるような雑な仕事はせずに、慎重にやってくださいね。その後は腕のいいカテ師にメンテナンスしてもらいますから。再手術にならないように前下行枝だけは初回にきめてください。言いつけを守って節制して、スタチンをたくさん飲んで再発防止しますから、よろしくお願いします。あくまでも個人の見解です。