禁煙治療-2

Nicotine, Carcinogen, and Toxin Exposure in Long-Term E-Cigarette and Nicotine Replacement Therapy Users: A Cross-sectional Study アメリカ内科学会雑誌20173月号 電子タバコではニトロソアミンやVOC(ホルマリンなどの揮発性有機化合物)などの発がん物質の吸収は少ない。日本では輸入してもちいているベープの電子たばこの話で、たばこ会社のヒートスティックの話ではありません。

ニコチン依存症治療で、ニコチンそのものや、ニコチンリセプターのα4β2ニコチン作動アセチルコリン受容体作動薬のバレニクリン酒石酸塩が処方ベストセラー、それより廉価なシダ由来植物アルカロイドのシチシンなどの同系が研究されています(ニューイングランド2009年9月29日)。タバコ葉に火をつけて狼煙のように吹き上がる、たばこの煙をこの世からなくすことが社会の是とすると、電子タバコで煙依存症からは離脱、おめでとう、ということになるのかもしれません。しかしニコチンを含有するリキッドを使用しているうちは、ニコチン依存症は継続したことになるのが問題でしょうか。バレニクリンのように10週間できっぱり中止できないなら、電子タバコで徐々にニコチンフリーに持っていくのもニコチン代替になります。ニコチン無しリキッドについては、通常の芳香甘味成分を水蒸気にして吸引しますが、それによる粘膜や気管の長期変化などはこれからの課題でしょう。ニコチンフリーでヘルシーにもかかわらず、社会的には口から煙が出る人で、喫煙者として広義であるが分類されるのがお嫌になる方もいるでしょう。口から甘い水蒸気の煙を一日10回から2回にまで減らせたけど、最後の2回がやめられないなどという個人の嗜好に対して、外来で治療できるのでしょうか。嚙みタバコやめて、ニコチンガムもやめられたが、クールミントのガムがやめられず、会社の会議で上司に怒られた人が、禁煙外来に来るのは変でしょう。口から甘い香りの水蒸気依存症は微笑ましい、精神医学的には口と手を充足を求める精神依存に分類されるのでしょう。

タバコを節煙するために電子タバコを使用している人は、まずは電子タバコだけにしたらどうでしょうか。ニコチン依存治療期間内で、たばこはやめられたが電子タバコでニコチンを追加補給していたら、投薬終了後はニコチン依存症のまんまです。ニコチン依存の電子タバコ常用者の方は、まずリキッド内のニコチン量減量で次第にハッカ甘味の水蒸気の精神依存になってみると、ニコチン依存症外来で健康保険を使う必要がなくなると思います。

 電子タバコをする人は、もともとの喫煙者がほとんどで、色々な論文では、めんどうくさくなって、元のたばこに戻る人がとても多いようです。取説を読みながら物事を行う若年世代に多い電子タバコですが、喫煙開始が電子タバコからになる人も少しだけいるようですが、結局コストなのかめんどくさいのか、アナログのタバコに移行する人が多いと言うことです。ニコチン入り電子タバコで煙タバコやめたと、安心していいのか、加えてニコチン依存を薬の内服で克服するのか、ニコチンなし電子ハッカたばこ水蒸気依存になるのか、哲学的です。