カルシウムの摂取に関しては、全米がん協会はむしろ推奨しています。1から1.2グラムは食事で摂取を呼び掛けていました。小松菜、青梗菜、ホウレンソウなどの野菜でとることを推奨し、乳製品の取りすぎは肥満由来の発がんなどを警戒していました。カルシウム摂取を推奨するもう一つの理由に、大腸ポリープを少なくするということも書いてありました。代表論文を探しました。
Calcium supplements for the prevention of colorectal adenomas.
1999年1月14日ニューイングランド
1999年のニューイングランドでは930人の大腸ファイバーで何もない人を集めて、カルシウムサプリ内服チームと内服なしチームでその後1年後と3年後の大腸ファイバーでのポリープ出現を観察したようです。2割脱落や飲み忘れのある状況でもよくやったと思います。P値が0.03という微妙さですが、20%ぐらいポリープの発生を防ぐという言い方でした。飲んでない人100人のうち30個ポリープあったよ、サプリ飲んでる100人には25個ですんだよ?という微妙な結果でした。やはりこれくらいの微妙さで、NEJM掲載され、カルシウムとポリープの関係が独り歩きするのが気になったのか。16年後に同じ著者はビタミンDとカルシウムとポリープで論文を書きました。B先生という名前の先生でした。我が家のシュナウザーと同じ名前の先生なので応援したくなりました、写真では人のよさそうな、禿頭紅顔のダートマス大学医学部の家庭医学や疫学の教授先生です。
A Trial of Calcium and Vitamin D for the prevention of Colorectal adenomas
ニューイングランド2015年10月15日
今度は2259人集めてきて、25マイクログラムの活性型ビタミンD(なんと日本人許容量の25倍)、とカルシウム1200mgを内服する しないで4チームにわけて、ポリープができていないか5年かけて検索したようです。統計的有意差はないとあっさりと引き下がりました。図表をよく見ると、カルシウム投与チームはポリープが1つできるところが、0.9個で済んでいそうですし、カルシウム濃度高めたらグレードの高い腺腫ができにくくなっているように見えていますが、著者は謙虚にもカルシウムとったらポリープができにくいとは言わなくなりました。
いくつか勉強になったことや課題がみつかりました。こんなにビタミンDを鬼投与しても高カルシウム血症の原因にはなっていないデータがありまして、ビタミンD投与による高カルシウム血症はあまり心配しなくてよいということがわかりました。やせ型にカルシウム投与するとポリープ形成は有意に少ないデータありましたが一言も触れていませんでした。また数千個のポリープを意識的に大腸ファイバーして新規に見つけていましたが、一つも癌になっていませんでしたが、ポリープの先端の数%は癌というのが本当かどうかをまた文献的に調査したくなりました。B先生のためにも、カルシウム投与するとポリープが少しだけできにくいというように解釈して、牛乳や小松菜を適量とるようにします。