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Endovascular versus open repair of abdominal aortic aneurysm in 15-years’ follow-up of the UK endovascular aneurysm repair trial 1 (EVAR trial 1): a randomised controlled trial. ランセット2016年11月12日

腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm AAA) 外科手術(開腹も腹膜外) 626人 vs ステント 626人

ステントグラフトの20年前は合併症の山でしたが、安定期のこの15年間の検討です。

治療後早期の瘤がらみ死亡は双方9%前後でした。晩期においては瘤絡みの死亡はステントに多かった、初期8年で双方260人ずつ死亡しているデータです、がん死亡率のようなデータです。日本ではこのような術後約半数が8年間で死亡する事態には至ってないはずです。手術対象は80歳以上より若年層の60歳からも多く含みますから、せっかく手術したのだしもうちょっと寿命が延びてもよさそうです。自分の経験からも含め日本のデータではもう少し予後はよいです。動脈硬化の最重症例で3000人に一人の疾患ですから、大切に管理しましょう。

すきま漏れや瘤の再発は明らかにステントで多いのは今後の課題であることがこの論文の要点です。初回手術は開腹手術ができないほどの合併症の人にステントを選択するのが筋でしょう、開腹が嫌だからステント治療もいいですが。10年後再発瘤となった場合、さらにステントできればいいですが。そんなに簡単ではないでしょう。ステント除去するのか残して横緒に人工血管を縫い付けるのか知りませんが、少なくとも癒着はがしや腎動脈再建の命にかかわる再手術しか方法はないわけです。最初からきっちり手術をしとけばよかったと後悔するでしょう。癌にかかる人は150人に一人ですが(国立がんセンター情報)、腹部大動脈瘤手術を受ける人は約3000人に1人です(DPCデータ)。東京で推定4000人以上の人が腹部大動脈瘤をどうするか毎年悩むことになります。