A Randomized Trial of Low-Carbohydrate Diet for obesity.
ニューイングランド2003年5月22日
63人の男女でペンシルベニア大学主導で、63人の肥満男女にアトキンダイエットと通常の1500-1800カロリーダイエットを振り分けて比較しました。アトキン先生ダイエットは、原法順守でカロリー無制限低糖質のプロトコールでの初期炭水化物20g/日から1年間かけて徐々に炭水化物をふやす方法です。体重は初期に利尿効果で激やせしたのは当然アトキン先生チームですが1年後もプロトコールを守った人の体重は、通常ダイエットより落ちていました。悪玉コレステロール上がって冠動脈疾患にかかるぞ、と思いきや善玉コレステロール上昇、中性脂肪減少など体重減少がことのほか効果的で脂質に大きな変動がないという結論で、よく判らないダイエットだという結論でした。
冠動脈リスクさえ指摘できれば、このダイエットを否定できるぞ。と当時の循環器と糖尿病の先生は、油ばかり取るから悪いに決まっているというスタンスでした。
Low-Carbohydrate-Diet and the Risk of Coronary Heart Disease in Women
ニューイングランド 2006年11月9日
ハーバードとUCLAの研究です。8万人の女性看護師さんの食生活で糖質摂取量を10段階に分け、脂質、タンパク質の摂取の様子をみるとともに、20年間で冠動脈疾患に影響するかということを調査しました。糖質制限といっても昨日紹介のzoneダイエット程度の3割ずつに糖蛋白脂肪を分散しているものから、60%糖質を取っている人まで、わりに均等に分散していたようです。糖質制限肉食系女子は喫煙者多く、コーヒー飲みで、あまり運動好きでない傾向でした、おやじ系でしょうか。一方で糖質大好き女子は健康的に果物が大好きで喫煙者はすくなく女子会系というところでしょうか、摂取カロリーは甘党なのか多めでした。喫煙がネックなのですが、肉食系は一見冠動脈疾患が多そうなのですが、植物由来の蛋白と油の摂取が多いひとはタバコの害と高齢リスクを除くと統計的には狭心症になりにくいということでした。豆腐などの植物蛋白だけでは必須アミノ酸すべてを含まないので、動物性蛋白補給もessencialで卵ぐらいは取らなくてはいけないことは覚えておきましょう。油や蛋白も適切に植物性のものであれば低糖質食も安全そうであるということです。ただし長期にわたって高たんぱく食が腎臓機能を保つかどうかは不明としました。今でも油多めの食事に対する、不信感は僕自身ぬぐえません。しかし、患者さんで、スリムになる人や糖尿病のくすりがどんどん少なくなる人、血圧の薬が少なくなる人、中性脂肪が落ちる人、続出しているのがここ3-4年の私の周りです。科学的根拠も充実しているし、腎臓の悪い人、片腎の人以外は、40%糖質30%脂質30%蛋白を進めてみましょうか。地中海式食事にも応用できそうで、その辺を次回。