日本人の腸内細菌

The gut microbiome of healthy Japanese and its microbial and functional uniqueness

DNAリサーチ2016年4月号 東大 理研 岡山 慶応 早稲田の共同論文です。岡山大学は大事なところに必ず食い込みます。広島どうした。細菌研究少しは有名なのに。

日本人の腸内細菌の組成はどうなっているか、100人の健康成人の便の遺伝子を国際遺伝子プールと照らし合わせました。通常西欧世界の論文では、真性細菌界バクテロイデス門が多いとかフィルミクス門が増えると病気がちとか言われてますが。日本人は全く別の組成です。プロバイオの研究などは日本国内だけでやらないと、外人に良いプレバイオ製品がもしかしたら日本人には関係ないかも知れません。日本人は群を抜いてビフィズス菌だらけでした。また太古の昔の菌である古細菌が極端に少ないことがわかりました。M. smithiiというのが古細菌の代表です。せっかく善玉菌が発酵して短鎖脂肪酸の酢酸を産生しても、この古だぬきが再発酵させてメタンを作るようです。メタンはおならの匂いです。日本人に体臭やげっぷやおならに匂いがつきにくいのはこれが原因ではという考察もできるようです。

早稲田大学の共著者がわかりやすく解説していました。

【健康な日本人の腸内細菌叢の特徴解明、約500万の遺伝子を発見 日本人は生体に有益な機能が外国よりも多く平均寿命の高さや低肥満率等との関連も示唆】

それによると、酪酸菌クロストリジウム優勢の欧州でしいてビフィズス菌があるとすれば、オーストリア、フランス、スウェーデンでバクテロイデス属少ない、ビフィズス少し多い、プレボテラ属少ないのが特徴です。プレボテラはバクテロイデス一門ですが、雑穀だけで生活する貧しい地域で優勢な、くせのある腸内細菌ですので真打に昇格して独立して取り扱います。リウマチの原因になるとか一時期話題になりましたが。菜食主義者にも多く大腸がんにはなりにくいようですが。ペルーとかアフリカはプレボテラ優勢でした。

アメリカ、中国はバクテロイデス優勢、プレボテラ中等度

 食事などの内容は、日本人はペルーやアフリカの人と同じぐらいのカロリーと油量と穀類摂取に分類されていました。

 人もうらやむビフィズス菌を大量に保有している日本人。食生活が優秀な腸内細菌を形成したのでしょう。海に囲まれて、鎖国もしたりした歴史もあって、腸内細菌もガラパゴスでした。様々な発酵食品、様々な雑穀、麺類、豊富な魚類(生魚も発酵)、海草をとります。それに加え世界の珍味、高カロリーから低カロリーのものまで超のつく雑食です。毎日乳酸菌をヨーグルトの力で摂取することも大事ですし、糖質脂質タンパク質野菜をまんべんなく普通のカロリーで摂取して、適度に仕事運動に励むと、おなかの細菌たちは決して裏切らないような気がします。