戌年にちなんで-3

糖尿病患者さんの治療において、大変なイベントは低血糖発作です。しまったと気づいたときは、自分でぶどう糖を持ってない場合は、意識を失う前に、コーラ(ぶどう糖含有する数少ない市販のドリンク)を飲むしかありません。ぶどう糖があれば歯茎にすり込んでも回復することがあります。若くしてインスリン自己注射、血糖自己測定に習熟せざるをえないのが、Ⅰ型糖尿病患者さんですが、その25%に不慮の低血糖発作がおこるようです。低血糖発作の前にそれを探知する能力が犬にあります。低血糖状態の細胞内において乳酸でエネルギーを何とか産生する状態になると、ケトン臭が発生します。犬が発作の未然に、においを探知すると言うことです。

 

Reliability of Trained Dogs to Alert to Hypoglycemia in Patients With Type I Diabetes

Diabetes science and technology 2017年 オレゴン健康科学大学の研究です。

低血糖アラート犬と,皮膚にパッチ状デバイス刷り張りして持続的に血糖をモニターし警告する持続血糖測定装置(CGM)との対決です。低血糖あり、低血糖なしの判定としては、犬は舐めるとか吠えるとかで飼い主に伝えたり、中にはぶどう糖を持ってくるように訓練された犬もいるとのことです。すなわち犬モニターは陽性反応の動作を報酬による動機づけで訓練されているわけです。このような検査は一般的に定性検査といいます。真の陽性、真の陰性、疑陽性、偽陰性。検査デバイスとしての精度を最新機器と勝負させたと言うことです。結果はワンちゃんの正診率は36%という結果でした。器械なら許認可の対象にすらならないレベルです。しかし機械は血糖値70mg/dl以下でアラームするのですが、ワンちゃんは100mg/dl以下でワンワンと吠え始めたり、300を超える高血糖の時もワンワンしてくれたりしていました。患者が自覚する前に役立つ率、機械は70mg/dl以下でないと教えてくれない設定として、イヌも器械も同じくらい70%の確率で自覚前に警告してくれたようです。犬種はラブラドールで2年間ぐらいの訓練が必要との事で、学校もあるし自宅で養成するプログラムもあるとのことです。米国では100万円以上かかる訓練のようです。日本には低血糖を予測するアラート犬養成所はありません。本邦既存の警察犬訓練なども同じぐらいの期間と費用がかかるようにHPにありました。ちなみに持続モニターは最長14日あたりで、器機の張替えが必要です。持続モニターの簡便化と普及が今後進んでゆくでしょうが、低血糖が怖い方などは一日4回は保険で認められているので、指先に針を刺して丹念に血糖値を都度事に調べていくよりほかありません。