Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates for Medicare Patients Treated by Male vs Female Physicians 米国医師会雑誌内科版 2017年8月
ハーバードで勤務している聖路加出身の公衆衛生の日本人医師の論文です。65歳以上高齢者の150万回の公的医療入院患者、女性医師の方が僅差ですが、30日以内死亡率や再入院率が少ないようです。疾患は、肺炎やうっ血性心不全や敗血症などにおいて、女性医師の方が僅差の11.07% vs 11.49%というような差であったとのことです。男性医師の沽券にかかわりますから言いますが、図表において受け持ち患者数が男は女性の1.4倍ですのでしょうがないと言ったらあれですが。15日で退院するとして女性医師は毎日5人受け持ちにたいして、男性は7人受け持ち。月10人新規患者を女性医師、14人を男性医師が受け持ちます。受け持ち患者数としては内科としては少ないように思いますが、制度が違うので何とも言えません。
図表に給料が載っていました。報酬が意外に日本の勤務医師より地味なのはびっくりしました。向こうの医師は手術や処置をすると、surgeon’ s feeが別個に振り込まれますので、処置や手術手当とは別なのでしょう。何せ、GEなど製造業で3500円時給のアメリカ社会ですから、ハーバード系列病院の医師が日本よりサラリーが地味と言うことはないと思います。さらに女性医師の方が報酬多めでした、男性は常勤ですが、女性はパートなどの時給制で割りがいいのでしょうか。
最後に考察部分でちゃんと、男性医師は救急患者が多く、重症患者をより多く診ているから死亡率に差が出たと明言していました。女性医師は子育てとかで、救急医療など不規則労働には不向きな面があるとも言っています。重症者見ているのによく僅差ですんだというところでしょうか。
日本もアメリカもそうですが、数学の問題が理系クラスの中で2問早く多く解けるということで、男子も女子も医学部に行きます。日本も海外もクラスの半分は女子医学生になっています。脳科学的に勤勉で勉強の持久力のある女子は、成績は上がりやすく医学部に行きやすいでしょう。脳重量こそ体格差ありますが、側頭葉の発達、右らしいのですが海馬の発達など記憶力と語学力は女性優秀で、ひらめきより分析と洞察にすぐれるという最新MRI解析ありました(sex differences in the structural connectome of the human brain PNAS 2014年1月号)。
医師の仕事の中には限られた時間の中で、いかに、ひらめいて問題を解決するか、というのもかなり大事ですから数学も大切でしょう。それ以外に大事なのは、というか、一番大事なのは、他の人(周りのスタッフもですが特に患者さん)のために一肌ぬぐ度量と愚考しています。自分は寒くなっても、寒そうな人に自分の着ている衣をかけてあげることです。学校の成績とは無縁の自己犠牲と忍耐が必要です。
女性は自己犠牲の生物です、母性がありますから。ストレスチェック判定を産業医活動でしていまして、仕事とストレスの性差も勉強しています。女性は痛みなど体の不調に耐える能力、仕事の持久力は、全国の2万人規模の就労者ストレステストの基本統計からも約10%強いことがわかっています。依頼心がつよく、弱音をはくのは男性新入社員というのも統計的事実です。筋肉量と給料が相関するガテン系、稀ですが破裂や大出血など時間無制限体力一本勝負の大手術、肉弾戦の特殊部隊、凶悪犯生け捕り、以外は女性の方が根気あるし、真面目だし、あらゆる仕事で女性の方が男性より無難に続けられます。先進国では女性に教育と体育を高等教育していますから、女性の知力体力ともに人類の軌跡のなかでも充実しており、こなせない職種は皆無と言っていいでしょう。
しかし生物学的に我が子が絡むと、本来の母性が子供に集中し始めます。子供さんの調子が悪いのに、気にもかけずに仕事に打ち込む方は、大変奇特なことですが、大変な心のストレスをかけることになります。子供にそそぐ母性を責任もって代替することができれば、イクメン運動、少子化、待機児童などのissueが徐々に良い方向に向かうでしょうが、難しいのは明らかです。女医の先生も、病院内に24時間託児あれば安心して、手術や当直や救急対応できそうに思うかもしれませんが、本人にしたら、患者から離れてゆっくり自宅で子供の世話をしたくなることもあるでしょう。当直の日は夫がイクメンとしても、心はおむつかぶれや病気やお腹すいてないか気がかりでしょう。複数回、女医さんの効用について論じていますが、医療も介護も女性医師がオールマイティであるため、なんとか能力をフルに活動できるようになってもらいたいです。