Associations of grip strength with cardiovascular, respiratory, and cancer outcomes and all cause mortality: prospective cohort study of half a million UK Biobank participants
英国医師会雑誌 2018年3月
握力強いほど長生きする伝説が、途上国も含めた世界データで2015年にランセットでありました。今回は英国50万人データで50歳台中盤での握力とその後の死亡原因や死亡率を統計処理したようです。きれいすぎるデータです。5kg低下するごとに死亡率は20%高まるであるとか、心血管病、肺病、大腸がん、肺がんまでも10%以上死亡率を上げるという表がありました。あろうことか病気の発生率も全部有意差をもって5kg低下するごとに数%から10%跳ね上がるというデータがありました。50歳台で計測したのか、70歳でこの握力研究に参加したなどいろいろバイアスはあろうと思います。55歳で握力測って70歳で他界や、50歳でへなちょこ握力なのにまだ70歳で元気にしている老人もいるでしょう。いろいろなパターンやそれに対する、つっこみはあるでしょう。しかし50万人の統計では一回の検査だけで、その値の数学的正当性があります。サイコロを50万人が1回ふっても、特定の目で不吉になるというような統計は数学的にはないわけです。この握力伝説は荒唐無稽でなく有意な事実と認識すべきです。握力を体格補正、運動量補正のデータもありました。複雑な統計処理の中、一番統計的にすべて偶の音も出ないぐらいの、有意差が出たのが、握力の絶対値の変化と病気の変動だったと思います。隣の人より5kg少なければ、何かが起こるよということです。理由は、握力と脚力は相関して、サルコペニアという筋肉が脂肪に置き換わる、老化現象をあげていました。