本年はまとまった勉強はできなかった。病気が見えるシリーズという、医学初学系の登竜門を全巻とりそろえて、漫画調の記載をながめたり、恒例の診療ガイドラインアップto dateを眺めたりしました。大画面でうつすと続けてぼんやり、30分ぐらいは眺めることができます。頭に入っているかどうかは別。
そういえばハーパー生化学全巻を、大画面でななめ読み通読したことは思い出になります。頭に入っているかは別。熱狂し集中しないと勉強しても頭には入りません。日本語はらくちんです。英語の論文や教科書は、コロナ関連程度しか見る気がしませんでした。
熱狂と集中は、コロナ診療に取られました。自分のように、余裕のない人間は、他に手がつかないようです。
オミクロンは今後、たくさん日本にもでてくるでしょうが、ワクチンや治療が前進してきているので、少し安心。当院は診断発見と自宅療養サポート。入院調整など。準備万端整っているので心配なし。
ようやく最近、書物に熱狂できるようになりました。
ペニー・ルクーター; ジェイ・バーレサン. スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質 Chuokoron-shinsha,Inc.. Kindle 版.
理系文系関係なく、読むと面白い。ルネサンスから大航海時代と革命や戦争という大河ロマン 対 化学式。化学式がわからない人でも、アハ体験できます。経済と工業の発展と化学式の関係も分かります。医療系の抗生剤や鎮痛剤やマラリアの薬についても、意外に知らないことが多く勉強になります。SDGという側面からは心配なことがあります。炭素豊富な化石燃料を辞めちゃうと、炭素をもとに作られていた、家庭や医学の有機化合物製品をどう作るのでしょうか。古着を着たり、薬を極端に使用しないようにしたり、使用期限を延長したりとかで、今後10年ぐらいもめますよ。
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チェンジングブルー 岩波書店。海洋研究開発機構の大河内先生の地球環境問題の入門書です。地学や天文学や地質学や生物学や有機化学を総合的に、地球温暖化や氷河期形成のメカニズムの総論がわかります。地球温暖化というのが、地球の歴史のなかで、何時でも何度でも起こって不思議はないというのがわかります。氷が解けても、海流変動でまた気温が下降したりするようですよ。地軸がかわっても寒くなるようだし。太陽との公転軌道も関係するし。地表を数キロ掘っただけで、数千度になるような場所に住んでいるのが地上の生物であるということを理解しました。暑いより、寒い方がこわいですよ。
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メルケルの伝記を読みました。
戦争惨敗、空爆や原爆で何もなくなってしまって、米国から資本を投下してもらって、日独は、持ち前の勤勉努力で繁栄しました。戦争放棄と米国由来の憲法遵守が条件の一つですが。西ドイツは、繁栄の最高潮の時が冷戦でした。冷戦後は、敗戦直後からのインフラそのままの東ドイツとの融合が起こりました。ホロコーストへの贖罪と、冷戦終結後からの分断された祖国の再建という、応用問題をドイツは解いていたのです。天才的な理系能力、東ドイツ出身+女性という、不利ともなり弱者にみられがちなところを、政治利用もせず、ジャンヌ・ダルク的に前に出ようともせず、理詰めで、とにかく働くおばちゃんです。貧乏を知っているし、質素倹約のプロテスタントなので蓄財しない、スキャンダルなし。東ドイツの秘密警察データからメルケルさんは、他人にチクられて不利になったことはあっても、決して人をチクる人物でなかったことは、女史の人格の根本的な証明になります。西側諸国ではありえない、究極の人物の背景調査が政界に入る前になされていたことになります。自国の繁栄をしつつ、ロシアのあたらしい皇帝とロシア語で話し合い、フランスの宰相からは歴代頼られ、温暖で陽気なラテンのEU諸国にしっかり働けと叱咤。ブッシュやオバマに逆に相談されるほどの力量の女史であったようです。ポピュリズム政治の時代になった前米政権あたりから、年齢も加味してお疲れになっているようです。核放棄と同時にヨーロッパの一つとなったウクライナが再びロシア化してきたり、優しさゆえに大量のムスリム移民を受け入れて、さらなる応用問題をドイツに残した感もあるのは事実です。コロナ対応では重症者対策は流石、ドイツ医学というところを世界に見せることができたのも、メルケルさんのおかげでしょう。しかし、感染率の増加やワクチン接種率が意外に伸び悩むのは、新しい生活に懐疑的な旧東ドイツ人 対 新しく入国できたムスリム系ドイツ人の対立などの応用問題が未解決だからです。いろいろ、宿題も残しましたが、21世紀を代表する歴史上の人物となるのは当確です。余生をどう過ごすのか、わかりませんが、ウイズダムを求めたくなります。日本人の見識で解決できない社会保障問題、環境問題、対ロシア政策、少子化問題、移民問題など、相談すればきっといい知恵くれます。