大英帝国の時代からのランセット、喫煙の話題も全世界規模です。これだけの論文にどれくらいの費用がかかるのか、世界中の厚労省や医師会や大学の云百人からデータをあつめ、古今東西の論文を吟味して、データーを処理して、統計解析を専門家に依頼して、文章書いて推敲して、何十人がフルに働いてデータ集積半年?論文作成2か月?、人件費だけでも数千万円かかりそうです。ワシントン州の大学の先生のなまえがぽつんと first authorで。医者の片手間に論文を書いている人でないことは確かです。アルバイトにどこかの病院の外来や当直をしないでも、研究に没頭できる方なのでしょう。ハーバード出身でWHOの仕事をなさるインド系の才媛でした。
Smoking prevalence and attributable disease burden in 195 countries and territories, 1990-2015: a systematic analysis from the Global Burden of Disease Study 2015.ランセット2017年4月5日
2818個のデータソース、195か国の喫煙事情を紹介。タバコをどうしろこうしろという論文ではありません。ソマリアからnorth Kから全部の解析です。2015年時点で人類の喫煙は女性5.4%男性25%。1990年にくらべると、その時点ですでに嫌煙運動ありましたから、総じて1.5%程度しか減少していませんでした。195か国の表をみて、個人所得レベルでは、north Kで世界の中では中級経済国という統計です。ですから貧困国家では日本の戦後のように、貧しくタバコも吸えない地域では男10%女性1%というアフリカ最貧国もありました。ある程度豊かになると、男女ともたばこぐらいは嗜める環境になるのでしょうか、上がってきます。2015年において年齢調整しての喫煙男女比は、中国(中流)37.5/2.2%、インド(低中流)17.4/2.8、米国(上流)14.4/11.7、日本(上流)26.6/9.3、フランス(上流)25.3/25.5、メキシコ(中流)15/4.8、オーストラリア(上流)15.6/13.3、スウェーデン(上流)10.3/11.4、ロシア(上流)38.2/12.3、サウジアラビア(上の中流?)19.5/1.7、グリーンランド(上の中流)44.2/42.7。グリーンランドは世界で一番タバコをすってました、イスラムやヒンズーなのか女性の喫煙は宗教的に少ない地域もありました。カトリック系の国でもママはタバコを吸わないという国が多いです(フィリピンや南米もその傾向)。ヨーロッパ系で男女同権雇用機会が均等な国家では、女性が先進国でも高めでした。少しヨーロッパと思いたいオージーにも同じ傾向ありました。フランスでは逆転して女性喫煙が上回るという現象でした。北欧の社会福祉医療充実、男女差撤廃のスウェーデンでこれほど女性喫煙が多いとは思いませんでした。世界の糖尿病ランセットにもありましたが、欧州で女性と地位とカロリー向上での糖尿病増加があったのを思い出しました。日本は先進国で現実路線でした男女比26.6/9.3でした。日本のたばこ市場は現在世界7位ですが、15-19歳の喫煙市場としての人口は世界16位ですから今後タバコをどんどん吸うような時代ではないです。若年喫煙率も低いようなので、日本は喫煙も高齢化社会で減少するのでしょうか。人口減少先進国ではタバコ暴露による実害すら感じられなくなるほど タバコの煙が減るようです。20年後は、老人ばかりが集い、通勤人口減少のため地元駅前に1件だけの、日が沈むと閑散となる居酒屋で、たばこをくゆらす若者が現れるたびに、”あっつ、たばこだ”とか”あれを吸えるぐらい元気でいいな”とか”ひと箱3000円だから金持ちの青年なんだ”とか”電子タバコも20年前からあるけど、今じゃ日本製は買えるけどベトナム製や中国製は高価すぎて手が出ない”という老人の会話が大都市近郊の一場面になるかもしれません。