第二波対策や経済回復への準備の大前提として、今後普及すべきは抗原検査であると思う。PCRと症状、抗原と症状の相関関係はわかっていない。万の母集団で初回症状vs検査結果の単純なデータを見てみたい。無症状でも、ただ粘膜に乗っかっているRNA情報を増幅するのがPCR検査で、ウイルスに暴露しただけとか、ウイルスを保因していることの証明に過ぎない。ウイルスが分解されてその抗原性が粘膜付近の貪食細胞に捕食されておれば、少なからず症状がでてくるものである。
無症状者からのウイルス放出が、大きな感染リスクであることは知られているが、日本の現状では防ぎようがない。中国のように、ある都市で全市民にPCRをすればわかるが、日本では無理のようである。そもそも無症状者に検査を行うことが許されるのは、通常の医療機関ではなく、保健所や厚労省のオフィサーだけである。
しかし鼻水程度や不快感や心配や杞憂について、これはかかりつけ医の仕事になる。すぐに判定できる抗原検査が普及したら、東京の医療は大助かりだ。
4つのシナリオが考えられる。
有症状の者、
- 抗原陽性→隔離を保健所と相談。在宅指導徹底、リスクのある者はコロナ病棟隔離入院→抗原陰性PCR陰性で社会復帰。
- 抗原偽陽性→申し訳ないが隔離の方向→抗原陰性PCR陰性で社会復帰。
- 抗原陰性→本当に陰性であればめでたし。
- 抗原偽陰性→野放し、感染広げるかも→まだ症状で再検→陽性ならシナリオ1へ、陰性ならシナリオ3へ
もう一回調べるころにはおそらく、風邪は治っている。
抗原検査を導入すれば、PCR件数を減らすことができる。PCR結果を待つための、疑い専用病棟の確保等の、疑い隔離の期間や手間が大幅に削減できる。開業医もどうやったら、自分たちがうつらないかの技術はすでにほとんどの免許持ちは、習得しているはずである。窓を開けて鼻をホジホジ、換気扇に向けて鼻をホジホジ、エプロン、手袋、サージカルマスクとシールドだけでもまず感染しないと思われる。N-95マスクは全く町医者には流通していない。PCR待ちの期間も数日から一日に短縮されたが、他国の数時間とは異なるため、無駄な一泊入院、宿泊費用、や在宅での拡散リスクを銭勘定すればどうだろう。無作為に抗原検査のキットを対象としたセールスのファックスが送られてきている。欧米や日本の検定のなされていない、未認定コロナ抗原キットが一回6000円で少量であるが入手可能である。精度に疑問があって、購入は躊躇している。国産や米国製も6000円はくだらないのであろう。しかしながら、
疑い病棟入院一泊は一万円以上であろうし、在宅でPCR検査とその結果待ちの数日の空費は、家族への感染や職場への影響から何十万円相当の損失となる。抗原検査は、PCRより安いし、30分で結果が出る簡便さや利便性は追及するべきである。
このシナリオはどうだろう。
- 80歳女性、高熱と咳 開業医外来受診→抗原陽性→即日コロナ病棟入院→肺炎当日判明→酸素投与、理学療法、解熱、抗ウイルス剤の試験投与。→重症であるがなんとか人工呼吸にならないように本人頑張る。
- 80歳女性、高熱と咳 開業医外来受診→保健所に連絡してPCRしてみようね→数日検査と結果を待つ間に重症化→救急要請→5時間後しぶしぶ、疑い病棟入院受け入れ→PCR陽性判明と同時にコロナ病棟転床→挿管人工呼吸→重体→延命意志尊重にてエクモのために再転院。
- 80歳女性、高熱と咳 開業医外来受診→抗原陰性→やはり調子悪いと翌日抗原再検→陽性→シナリオ1へ
- 80歳女性、高熱と咳 開業医外来受診→抗原陰性→血液検査やほかのぬぐい検査で、インフルエンザやほかの市中肺炎が疑われ、厳重にその加療を行う。
この冬に想定されるシナリオですが、シナリオ2 は絶対避けなければいけないと思います。