ブルドックの遺伝子

A genetic assessment of the English bulldog

Canine Genetics and Epidemiology2016

戌年なので、マスコミや科学者の間でたくさん引用された論文を探したら、ブルドックの遺伝学の考察というのがありました。微笑ましい犬の絵なども挿入されており、ワクワクして読み進めると、難解な遺伝学用語、苦労しました。世界中から100頭余りの優良ブリーダー経由の遺伝子を集めました。父系は主に1頭、母は主として2頭由来の遺伝子、でボトルネック効果とのことでした。近親交配が強いほど、高価なブルドックらしいものが出来上がるようでした。しかし短頭による呼吸器障害で入院した普通クラスの犬と、元気な高価な犬とでの免疫遺伝子は大きく変わらなかったようです。プードルよりは遺伝子の多様性があって現代高校生ならわかるというハーディー・ワインベルクの法則に乗っ取るようでした。いつも論文の本質と限界を粗探しするのですが、難しくてできません。

 ボトルネック効果とは、天変地異で生き残った優勢な遺伝子がその後受け継がれる効果。人類では南米のインディオが血液型O型ほぼ100%という事実で説明します。何万年前に大陸に生き残った少数が他大陸人種と交雑しなかったためではないかということのようです。

ハーディー・ワインベルクの法則として現代高校生はみな知っているということなので恥ずかしいのです。ある遺伝子集団で、いくつかの条件を満たすと(突然変異なく、多くの個体数、流入がないなど)、次世代遺伝子の傾向は将来にわたり一定であるとのことです。

名のあるブリーダーに聞くと、犬種ごとの世界大会で優勝すると世界的な種犬となり、一匹が宅急便で世界を空輸されて飛び回るようです。明日はロス、次ニューヨーク、ロンドン行って、中東行ってまた日本に帰ってくるというのが、高級犬の世界であるとの由。血統が流動するのかと聞いてみますと、限られた家系のみで交配するとのことです。遺伝子プールの非流動性を保っていることになります。ボトルネック効果→ハーディー・ワインベルクの法則を保つことが昔から行われてきたわけです。できた子犬が、日本チャンピョンとなれば、国内での種犬になるということになります。六本木の高級ペットショップではトイプー100万円ですから、掛け合わせの目利きが財を成す世界のようです。将来は父系と母系のハプロタイプ、主要免疫抗原あたりのゲノム情報が今後血統書に書かれるでしょう。