サプリや食事と発がん

Common questions about diet and cancer 2016年

アメリカがん協会の患者向けパンフレットの中では、サプリメント内服でのがん抑制効果はなく、食物からの摂取を推奨しています。むしろサプリによる発がんなどを懸念する記載がありましたので、その根拠論文を探して紹介します。

Effects of a Combination of Beta Carotene and Vitamin A on Lung Cancer and Cardiovascular Disease 1996年 5月2日ニューイングランド アメリカ

18000人の喫煙者、アスベスト暴露のものに、二重盲検でベータカロチンやや多めの30mgとビタミンA25000単位投与と非投与 4年間で肺がん発生が20%増しで、死亡率も高く心血管合併症も多かったという、活性酸素対策のビタミンで病気という奇妙な話です。1994年のフィンランドの喫煙者でのビタミンE+25mgベータカロチンで黄色くならずに肺がん増えるという気味の悪い結果を受けて、アメリカの労働者たちで再現したようです。同様の結果、なんでこうなるのかは書いていません。喫煙にてベータカロチンの分解が異様な方向に進んで、発がんを助長するのではと 巷間言われています。黄色くもならず肺がんになってもサプリを取り続けるという凄惨な研究と言えます。もうこの研究はやめようと言うことになったと記憶しています。植物からはプロビタミンAとしてβカロチン、脂溶性栄養素のビタミンA は主に肝油,レバー,うなぎ,ミルクや卵といった動物性食品からレチニルエステルとして摂取され肝臓にプールされます。植物性のカロチンを25-30mg摂取は日本人摂取量より多めでしょうか。ビタミンA内服量は日本人処方量に矛盾しませんでした。いったん吸収すると、水溶性ビタミンのように尿中排泄できないから、投与は慎重にしなさいと、昔老練な外科医に指導を受けたことがありました。妊婦では、必須の栄養素ですが、過剰症もあるので問題になります。一方で、ビタミンAは現在では、急性白血病の治療に用いられたりしています。皮膚や網膜に必要なビタミンですので適量を経口摂取することは必ず行う必要があります。