Long term gluten consumption in adults without celiac disease and risk of coronary heart disease: prospective cohort study 英国医師会雑誌2017年4月号
グルテンは小麦やライ麦などのタンパク質で、鯉の餌の麩のことです。中華料理の精進料理では肉の代わりに使います。白人女性に多い、小腸でのグルテン吸収不良症のセリアック病では心臓血管病が多いとされています。パンが食べられないから脂質を多くとることになって炎症が増して動脈硬化が進行するのかとおもいます。セリアック病でなくても精神疾患や癲癇などでグルテンフリーにしたところ退院が早くなるなどともいわれています。いわゆるケトン食療法のことで、通常の糖を利用する脳代謝でなく、飢餓や絶食修行中に経験するケトン体利用の脳代謝に近づけることが、たまたま精神神経疾患の治療になったということです。また小麦粉アレルギーの原因にもなります。
炭水化物を抜いて高たんぱく高脂肪食にするとダイエット効果が短期間続くというアメリカの極端なアトキンダイエットなども引き金となって、パンやパスタは即ち悪のグルテンということで、アメリカでは学校給食からも忌避されています。
グルテン食は本当のところどうなんだろうという研究です。65000人の看護師女性と45000人の医療男性の食生活と心臓血管病を調査しました。医療関係者ですから、2000カロリ/日以下の暴飲暴食でない健康的な米国人でした。例によって、喫煙歴があるだけでグルテン云々でなく狭心症まっしぐらでした。それを除くと、グルテンを比較的多くとった(小麦粉と植物繊維をしっかりとった)人はそうでない人より、15%心血管病が減るというデータがでてきました。肉や魚や乳製品や卵で腹を満たすより、食物繊維たっぷりの食パンで腹を満たす従来の食事の方がよかったことになります。目標カロリーを念頭にいれて、適切な肉や野菜料理とサラダとパンという組み合わせが間違いのない食事ということです。パンが買えないならブリオッシュをお食べと言ってしまい、断頭台の露となった女史がフランスにいました。臣民にはパンとサーカスという組み合わせでローマ帝国は運営されました、何千年と続く欧州のパン食を鯉の餌のグルテンで否定することはありません。
米にはグルテンありません。日本人にはコメがある。カロリー控えめでもコメを胃袋にいれれば満腹感はえられます。ステーキ大量にブロッコリー、冷凍サバの塩焼が主食となるローカーボダイエットより、将来的にはどんぶり飯に減塩納豆定食 減塩焼き魚定食 刺身定食が一番ヘルシーと回帰する日も近いでしょう。