カルシウムとチンゲン(青梗)菜

全米がん協会の患者パンフで食べ物やサプリと発がんについて、まとめています。カルシウムと発がんについてです。

Calcium intake increases risk of prostate cancer among Singapore Chinesse

インパクトファクター9点のCancer Research 2010年6月15日号

アメリカの大学でとりまとめた、シンガポール華僑のカルシウム摂取量と前立腺癌との関係です。28000人対象、10年の経過観察です。結局、10年間で一日カルシウムを500mg以上取っている人は、やや前立腺癌になりやすいというデータでした。中国系はカルシウムを青梗菜などの野菜でとっていることが多く、これらの野菜中心のBMI低めの人に逆に前立腺癌発生が多い傾向があるのは興味深いと思いました。カルシウムといえば2005年時の牛乳と前立腺癌グラフ牛乳摂取量と前立腺癌は直線的な関係があります。中国では癌も少なく牛乳消費はほとんどない、米国は一日700ccとって前立腺癌は中国の12倍(10万人当たり120人)。日本は200ccの牛乳で10万人当たり約60人とアメリカ並みでした。学校給食で牛乳を飲ませるようになったり、銭湯で風呂上りに1本、飲めない人はヤクルトなど乳製品文化があります。広島の乳製品会社のヨーグルトが、20年前のメルボルンで毎日手に入りました。今後はPSA検診のおかげでどんどん前立腺癌状態発見が増え続けるのでアメリカや豪州的になるでしょう。カルシウムはその他の癌に影響しないわけですから、安全な元素だともいえます。

カルシウムの摂取に関しては、全米がん協会はむしろ推奨しています。1から1.2グラムは食事で摂取を呼び掛けていました。小松菜、青梗菜、ホウレンソウなどの野菜でとることを推奨し、乳製品の取りすぎは肥満由来の発がんなどを警戒していました。

 東洋人は野菜でのカルシウム腸管吸収が白人種よりよいとのことが本論文に記載がありました。したがって、男性が過剰にサプリでカルシウムを摂取することはないのではないかと思います。先日に述べたようにビタミンDは、東洋人なら白人種より活性化しやすいので、男性においては骨を活性しカルシウムとリンの吸収を促すビタミンを敢えて過剰に摂取する必要もなさそうです。カルシウム取りすぎると前立腺癌になるという言葉が独り歩きしそうな、全米がん協会の患者パンフですが、極端な乳製品好きのアメリカの食卓に警告しているだけなので、あまり神経質にならなくていいです。

 最後に、シンガポール華僑の浴びる紫外線量は、東洋人種創生以来DNA想定外でしょうから、通常よりビタミンDは作られているはずです。血中ビタミン濃度を添えて、血中カルシウム濃度も測ったら、ほんとうにインパクトのある論文だったのに。