とても高価な動脈硬化の注射

Antiinflammatory Therapy with Canakinumab for Atherosclerotic Disease

ニューイングランド2017年 9月 

IL-1:マクロファージによって分泌され急性期反応を誘導する。炎症の1丁目一番地のようで、これを阻害したら病気に効くと研究が長年なされ、実用化しました。現在、保険適応は以下の病気に限定です。

 

カナキヌマブは難病の

1.以下のクリオピリン関連周期性症候群

◦家族性寒冷自己炎症症候群◦マックル・ウェルズ症候群◦新生児期発症多臓器系炎症性疾患

2.既存治療で効果不十分な家族性地中海熱

3.TNF受容体関連周期性症候群

4.高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)

稀な疾患で日本では適応がとれている、IL-1βに対するモノクローナル抗体です。2017年9月ニューイングランド、全世界での1万人の容量評価の二重盲検試験の結果が出ていました。心筋梗塞既往と高度炎症反応患者での心臓血管事故、心臓血管死亡、発がん抑制効果、感染悪化副作用について検討しました。3か月に1回の注射3.7年の観察で、容量依存的に炎症反応は低下、年間の心血管事故は偽薬では4.5%、4.11%は50mg投与、150mgでは3.86%に減っていました。150mgで入院や死亡を年間約5%程度は下げる、表がはってありました。癌やリウマチも防ぐ効果がありますが、1000人に二人の重症感染症を偽薬で認めましたが、注射群では四人程度に上がる程度でした。

 夢のような成人病予防の薬ですが、金額が異様です。厚労省のPDFがネットにありましたが、原価1本1cc 94万円営業利益34万円流通経費10万円+消費税などで、薬価を140万円にしていました。年間4回注射すると、元値だけで年間560万円以上かかります。米国より少し割安になっています。推定1000億円以上の巨大研究ですが、このご時世ですので、上記難病以外は保険では認められないでしょう。保険なしで打ちたい人、注射してもいいと思う先生はそれなりのセレブな人達でしょうから、年間700万円以上でも自由診療を契約する人がいるかもしれません。毎年700万円で成人病に5%かからずにもしかしたら死亡が免れるというわけです。この金額があれば、個人でトレーナーや栄養師に相談したり、肥満は健康的にやせる、肥満手術をするとか、喫煙者は禁煙、大酒のみは節酒、などで極めて病気になりにくいでしょう。

以下はインターロイキンのまとめ

IL-2:T細胞によって分泌されT細胞の増殖と分化を促進する。がんの免疫療法に用いられる。タクロリムスやサイクロスポリンはこの抑制剤で移植などで使われる。

IL-3:T細胞によって分泌され骨髄幹細胞を刺激する。

IL-4:B細胞の増殖とT細胞および肥満細胞の分化に関与する。アレルギー反応で重要。

IL-5:B細胞を刺激してIgAを産生させ、 また好酸球を刺激する。メポリズマブは抑制剤で喘息患者の分子標的剤で登場している。

IL-6:マクロファージを刺激して急性反応を誘導する。トシリズマブは抑制剤でリウマチ治療のアクテムラ。

IL-7:B細胞、T細胞、NK細胞の生存、分化、ホメオスタシスに関与する。

IL-8:好中球の走化性を誘導する。

IL-9:肥満細胞を刺激する。

IL-10:樹状細胞を抑制することによって、Th1サイトカイン産生を阻害する。

IL-11:急性期タンパク質を産生させる。

IL-12:NK細胞を刺激し、Th1への分化を誘導する。

IL-13:B細胞の増殖と分化を刺激し、Th1細胞を阻害し、マクロファージの炎症性サイトカイン産生を促進する。

IL-14:活性化B細胞の増殖誘導。B細胞の抗体産生抑制。T細胞から産生。

IL-15:末梢血単球および上皮細胞から産生。キラーT細胞の活性化。B細胞の増殖と分化誘導。

IL-17:炎症性サイトカインの産生を誘導する。

IL-18:インターフェロン-γの産生を誘導する。