NEJMの鍼灸治療

Acupuncture for Chronic Low Back Pain ニューイングランドジャーナル 2010年6月号

45歳建築現場で働く、軽い腰椎ヘルニアによる慢性腰痛のvignetteからはじまります。

痛み止め、理学療法効かないため、針治療はどうかという意見に対して、西洋医学の医師はどう答えるかという設問です。結論は、腰痛は基本的に2か月あたりで、良くなるものと考えた場合、2か月を過ぎて、漫然とした投薬やペイン注射を繰り返すのは、代替治療もありと考えます。その一つに鍼灸も考えようという姿勢です。さらにそれを2-3か月で改善が得られなければ、撤退というかんじです。6400人の大規模研究がありますが、専門家によるもの、なんちゃって鍼灸、何もしないの3群比較すると、有意差はなかったという、きつい結果ですが、何もしないよりは、インチキも専門家も含めて腰痛の自覚症状改善は鍼灸にあったようです。血流の改善、痛み閾値の改善、特に痛みを与えた直後は必ず患者さんはそちらに気が回りますから、一時的に腰痛は忘れます。外来で、トリガー注射をすると、患者さんは2時間は元気になりますから、よく臨床医は経験することです。

抗凝固、抗血小板剤内服、ベーチェットなどの患者さんは禁忌ですが、以下のツボに打ったらどうかと、ニューイングランドは紹介しています。

Shenshu(UB23), dachangshu(UB25), yaoyangguan(GV3), weizhongUB40を推奨していました。

色々調べると、それぞれ膀胱、大腸、腰陽閉、腋などと名のついた、ツボをさしているようです。Traditional Chinese medicine と検索すると、無数にツボの解説があります。病気を入力すると、ツボがわかるようになっています。

日本の鍼灸も漢方もガラパゴスで国内で発達、伝承されています。いくつかの学派があるようです。それぞれ学問体系も六法全書の厚みの本が、何十巻も発売されて、読んで理解するのに100年ぐらいかかる量です。中国古典の読み下し、その解説と一子相伝の方法を詳述しているものです。漢方も鍼灸も科学ではありません、しかし決して無効でないところから、科学を超えた生物の潜在的な治癒能力を導く方法でしょう。スタンフォード大学をはじめ、鍼灸の治療講座があって、外来を設けていると、大学院に留学して頸椎をいためてその外来に通院した人に聞きました。