腸内細菌のための栄養

日本人青年男子における油脂類の消化吸収率とエネルギー利用率に関する研究

昭和63年 日本衛生学会誌

徳島大学公衆衛生のチームが昭和63年に日本人の脂肪吸収率を調べました。便中脂肪を測定し食用油もラードもほぼ100%吸収されることが証明されています。前回書き留めたところの、欧米人の研究において油の吸収率は、90%前後であったことから、日本人の方が脂肪吸収は得意であろうと思われます。欧米人はBBQ大好きです、あぶって、油を落として、野生の赤肉を食べるのが大好きです。霜降り肉はむしろ日本独特で、油の肉を好むのは日本人だけかもしれません。

Bomb calorimetry, the gold standard for assessment of intestinal absorption capacity: normative values in healthy ambulant adults. 2013 英国栄養学会公式雑誌

オランダ健康成人の食事と便の組成分析ですfecal なのでFとします。男性180の80キロ、女性172の70キロの普通のオランダ人で2000カロリーから2500カロリーとっていました。うち600カロリー~700カロリーが脂肪でした。炭水化物は1000カロリーという西洋料理系の配分です。Fは平均140gでした。ボムカロリーメーターでなんでも燃やしてカロリー測りました。F 1g 1.5カロリー出していました。大柄な人達ですがF 100~150gがせいぜいです。吸収率は10%弱をFに出してしまうので、食べ物全体の吸収率で90%でした。脂肪の吸収率は92.5%、タンパク質は86.9%、炭水化物は87.3%でした。肉食のオランダ人でも脂肪の吸収率は、日本の100%より少なめでした。炭水化物は線維成分があるため、便中に排泄されやすいということがわかりました。

 以前申し上げたことがありますが、アトキンダイエットなどの低炭水化物食での初期の劇的減量は、アミノ酸の血中濃度増加による利尿作用が中心です。総カロリーを考えずに、8割脂肪の揚げ物中心にするとカロリーが増えて、減量に失敗するとともに動脈硬化体質になると思います。赤身ステーキも40%以上が脂肪カロリーです。炭水化物を極度に制限する、ステーキとブロッコリー大量で総カロリーと満腹、ダイエット効果や糖尿病治療効果もあると思います。炭水化物の線維がなくなって、それを餌にしているゆえに飢えることとなる腸内細菌はどうなるのか、大量の不消化アミノ酸の攻撃を受けた腸内細菌はどうなるのか。それを調べると、ステーキとブロッコリーで糖尿と体型を維持しようとしている人の未来がすこし見えてくるかもしれません。