肺炎球菌ワクチンなんで5年毎?

大人の肺炎球菌ワクチンと子供の肺炎球菌ワクチンの違い

米国の医学生は、基礎医学の国家試験の勉強時に、下のような文章に遭遇します。

Antigens lacking a peptide component (eg, lipopolysaccharides from gram negative bacteria); cannot be presented by MHC to T cells. Weakly immunogenic; vaccines often require boosters and adjuvants (eg, pneumococcal polysaccharide vaccine).

蛋白質のかける(グラム陰性菌由来のリポポリサッカライドなど)は人主要組織適応抗原をもってT細胞に抗原が提示できない(肺炎球菌ポリサッカライドワクチンなど)。

という判じ物のような一文を、米国の医学生の若者はどうとらえるのでしょうか。実際に肺炎23価ワクチンをたくさん打っている私も真剣に悩みました。

T細胞で記憶されてどんどん、抗体が増産される抗原とそうでない抗原があるというらしいです。三つ子の魂100までの代表選手が、ジフテリアワクチンのようです。グラム陰性菌からでるポリサッカライドのエンドトキシンに対してはワクチン無効で毎回罹患しますよというMHCに関係ないT細胞非依存性抗原です。

肺炎球菌ワクチンは細菌抗原ワクチンに分類されますが、世界ではsubunitワクチンと呼ばれています。菌体抗原を有しているワクチンです。多糖類だけでできた菌体抗原では胸腺のT細胞を刺激することが難しく、何回も打たないと効かないというのが、上記英文の意味です。大人の23価ワクチンは子供には効かない理由も、胸腺T細胞発達のないこどもに効果が薄いという意味です。子供の髄膜炎予防の13価にはジフテリア菌の一部が装填されてワクチン増強効果をねらっています。海外では子供の肺炎球菌ワクチンはConjugated vaccineといいます、結合ワクチンです、pneumonia conjugated vaccineでPCVと略すわけです。大人というか年寄りのワクチンは増強剤のない菌の壁にあるポリサッカライドワクチンといいますpneumococcal polysaccharide vaccineでPPSVと略します。グラム陽性菌ですが菌の壁にはポリサッカライドがあるのかどうかも気になりますが、内毒素以外の構造としてあるようです。PSSVはブースターが必要で5年に1回となります。今後はしくみがわかりましたから、お年寄りになんで、西田敏行ワクチンを5年毎に打つ必要があるかが説明できますし、加山雄三ワクチンは比較的長持ちすることも説明できます。もともと老人はワクチンの効果が、インフルエンザワクチンで知られているように、弱いことも説明に加えます。