禁煙治療ーベープと加熱

 禁煙治療を10年以上していますので、勉強大事です。電子タバコについて勉強しました。デバイスは二つに分類されます。ニコチン水のリキッドを用いた蒸発系と日本採用の葉タバコ加熱系です。世界的には、蒸発という意味のvaperとかvapeとかvapingといって風味±ニコチン水(リキッド)を水蒸気として吸入するものが一般的な電子たばことされ、数千万人市場です。デバイスもパイプにピンキリあるように重厚なものからパンク調、レディース向きなど目移りするぐらいあります。そのリキッドも煽情的なラベルと多種多様のフレーバーとニコチン量設定など世界中で玉石混交のようです。日本は例にたがわず特殊な方向に、しかも遅れて迷い込んだ状態です。旧専売公社、フィ○プ森巣、幸運ストライク系の製品はタバコの葉っぱに水蒸気を吹き付けて吸入するという、加熱式たばこで(ヒートスティック)、数百万人と小ぶり市場、国際論文で評価対象になっていません。森巣葉タバコのヒートスティックを、アメリカ食品衛生局は認可していないようです。500年前新大陸発見からヨーロッパに伝来した喫煙は、シルクロードやインド洋を経由して、最後に日本に伝わりましたが、現在は世界第7位の巨大タバコ市場です(ランセット2017年10月号以前紹介)。日本の電子たばこ化も伝来は世界でも最後の方でした、ニコチン入りリキッドは薬事法にひっかかるため蒸発系は輸入以外には製造販売認可進まず、加熱たばこのみが流通するという、世界とは異質(ガラパゴス)の方向になっています。ファーストフード、レストランや飲み屋でいまだに喫煙を寛容している唯一の先進国ですから、しょうがないですか。日本式加熱たばこではニコチンなしの設定は今のところできないので、ニコチン依存症治療の代用にはなりません。

 

The Health Effects of Electronic Cigarettes ニューイングランド2016年10月

Electronic Cigarettes A Policy Statement From the American Heart Association

Circulation 2014年10月 ニコチンの補給と吸収について気になって総説を読みました。蒸発系の安全性や操作方法や市場背景で、日本の加熱式は対象外です。

Vapeは燃焼系よりはるかに発がん因子のタールなどはないに等しいです(ニュジーランド健康2009年9月8日)。ニコチン吸収量については不定というのが正解かと思われます。200度から300度でプロピレングリコールとグリセリンを爆発寸前で加温させて作った水蒸気は肺胞までは到達できないようです。気道熱傷しない程度の温度での生暖かい水蒸気に含まれたニコチンは、口腔や咽頭粘膜で主として吸収がおこなわれるようです(Circulation2014)。吸収効率の関係か、血中濃度測定にはばらつきがあって、たばこほどニコチン満足度は一定でないという説があります。あるベストセラー機種では、一回の水蒸気発射は2秒とか3秒と喫煙時が限定されます(吸入抵抗から吸入時間まで調整できるデバイスもあり)。ガス爆発でできた水蒸気を2秒で、一挙に吸いますから、摂取予想可能のニコチンが口腔内に入ります。充電コンセントやUSBケーブルにつないで、何回も何回もパフパフしたら、とんでもないニコチンが入るでしょう。

 Vapeをしている人を居酒屋でみつけて、観察しても、20分に1回ぐらい、鯨の潮吹きみたいにしていたので、たばことほぼ同じ間隔で吸ってニコチンを満足してるのでしょうか。タバコは口から胃袋あたりが調子わるいと、金魚のようにパクパクするだけで肺に入れませんし、2口で消すなどもあろうし、ニコチン吸収は、むしろ電子タバコの方が、多いこともあるかもしれません。日本式加熱式のものは、ある患者さん情報では200回パフしてマイルドセブンひと箱と同じニコチン感覚とのことです。森巣系はそれより少ないパフで満足するようですが、いずれにしても喉へのキック感は燃焼に及ばないとのことでした。

自分も40歳まで吸ってましたから、たばこは語れますが、電子タバコは経験ないので、勉強しました。勉強するとイライラして12年ぶりに、マルボロライトが欲しい気がしました。デュカプリオが手榴弾のようなVaperを持って、受賞会場か何かでタキシード姿で潮吹きしてましたが、見慣れないので奇異でした。くわえたばこスタイルは各種の電子タバコではできないか、唇がぶるぶるするようです。煙だしながら2本クラブもってヘッドを残しつつ柔軟素振り練習をするおっさんゴルファーのイメージ、折れたタバコの吸い殻で~、ボギーのタバコ、イーストウッドが導火線に火をつけるタバコ、裕次郎のたばこ、文太のたばこ、西部警察のたばこ、次元のしわくちゃたばこ、昭和の男たちのたばこが僕のイメージです。