水の事故

‘Dry drowning’ and other myths

Cleveland Clinic Journal of Medicine. 2018 July;85(7):529-535

溺水事故と水難事故を区別しようという話でした。過疎地域の救急をやっていたことがあって、水の事故はもっぱら、淡水溺水を経験しました。海水溺水との違いは、水を飲んだり、誤飲誤嚥にて水中毒になる、即ち低ナトリウム血症を注意するということを教わりました。海水や淡水で変化して、浮腫などが来るか来ないかが勝負になると思っていましたが。この論文ではそれは神話に過ぎない、体重×2ccの水の誤嚥で、肺胞のふくらみを維持するサーファクタントが壊れるようで、水でも海水でも関係ないようです?

過疎地域の病院勤務で、しばしば川遊び、渓流釣り、沢登りで遭難して、淡水で溺水した人を見ましたが、教科書にあるような低ナトリウム血症というのは確かにありませんでした。

タイトルのドライドロウイングというのは、水で心臓が冷えて不整脈で心停止などしてから溺れることので、乾いた溺水というのは、医学的にはよろしくないと言っていました。

やはり窒息、低酸素、心停止、蘇生、回復過程というプロセスに加えて、肺胞ダメージを加味するのが溺水の対処法になるということです。100%酸素を投与しても酸素化が得られないような病態になるわけですから、蘇生後も予断を許せないということです。