梅雨のリンゴ

クリニカルケースes

ニューイングランド 最近のものから、slapped cheek

35歳女性、クローン病分子標的剤治療中(infliximab monotherapyから日本未承認タケダのvedolizumab)にて安定。なぜか潰瘍性大腸炎に多い、原発性胆汁性肝硬変既往を匂わせる。感冒38度あたり、と貧血と頭痛似て来院。1か月前、6歳の我が子がリンゴ病であったことは、診断の寸前に判明。リンゴ病は英語で、fifth diseaseです。パルボ19ウイルスで、幼少時発症し終生免疫です。しかしいくつかのセロタイプがあって、大人でも子供さんから感染することがあるようです。自分も毎梅雨時に、大人を何人か、下腿にレース状の紫斑が後からでる風邪ひきをみます。骨髄に移行しやすく、骨髄風邪となって主に貧血の原因になるし、妊婦さんでは子供の骨髄に感染すると胎児貧血で胎児が浮腫になる危険な合併症もあます。またこういう、異形のかぜはマイコプラズマもそうですが、寒冷凝集素症といって血液自己抗体を作って、血液が血管の外に漏れたり血管の中でマラリア感染みたいに赤血球が破裂したりします。血管の外に溶血すると、紅斑が出るということがわかりました。血小板が少し下がって、貧血がすこしあるのも理解できます。梅雨時はリンゴ病のシーズンです。梅雨時は、ほっぺたビンタのリンゴ病、別名slapped cheekを大人も気を付けよう。

最終診断:リンゴ病による骨髄性貧血、または自己抗体による溶血の疑い。