春眠暁を覚えず

Narcolepsy

ニューイングランド2015年大晦日号

ナルコレプシーについての解説です。まずは睡眠と脳波の関係

 

睡眠について

目が開いている状態ではβ波(13ヘルツ)、目を閉じているとα波(8-13)

レベル1睡眠 入眠しα少なくなってθ波(4-8)

レベル2睡眠紡錘波とΚ波

レベル3δ波50%以下

レベル4δ波50%以上

7時間で20-30分のrapid eye movement が夢の時、全身弛緩し体を休める目的。REM睡眠は5回程度あるとよい。老人で少なくなる。睡眠時無呼吸はapnea hypopnea index; AHI 10秒間の呼吸停止や低換気が一時間で30回以上は重症。

 

ナルコレプシーは夢REMが日中に起こってしまう病気です。夢を見ているのがREMの時です。頭は極彩色ドラマを作成してフル回転、体は筋肉完全弛緩状態です。数秒間の夢ですが、体は弛緩しているのがポイントです。怒りや悲しみや痛み刺激などで、REMがおこりますと急にがくんと倒れます。これはナルコレプシーの重症例でカタプレキシーと言います。覚醒したり寝入ったりして断続的なものは睡眠麻痺です。寝入りばなにビビッドな幻覚や幻聴や異臭でびっくりして、ひどい場合は警察呼んだりするのが、hypnagogic hallucinations(寝落ちしてすぐ)、hypnopompic hallucinations(半分意識あり→飛び起きて警察に電話)。寝入りばなの妄想の夢は健常人でも20%あるとのことです。心配なときは睡眠時の脳波観察などをするのがよいとのことです。他の精神疾患に合併することもあります。ナルコレプシーの原因はオレキシンという睡眠を抑制する物質の低下とされます。オレキシンは覚醒をたもって、扁桃体にも活をいれて橋を通じて交感神経系に気合を入れます。オレキシンスプレーは安全な覚醒物質として軍事利用などともウイキにありました。オレキシン拮抗阻害剤があたらしい睡眠剤のbell曽村です。ヘルパーT細胞に抗原を提示する蛋白をコードする、HLA1 DQにあるDQB1*0601保持の多い日本人に多いそうな。ただし双子研究では30%しか遺伝性としてナルコレプシーが発病しないことから遺伝子だけではないとな。感染などの他の要因が関与するようです。春眠暁を覚えずの時期に、ナルコレプシーが多いのは、インフルや溶連菌感染と関連するといわれています。インフルエンザ感染中に夢遊病になるのがDQB1*0601保持者に多いという研究はありませんでしたが、インフルエンザ感染後のナルコレプシーは同遺伝子保持者でした。治療は覚醒作用のある薬や抗うつ剤などをプロの処方でということです。オレキシンは血液脳関門を通過しないので外から投与できないのでまだまだ難関な病気といえます。日本人の病気なので、頑張っていい薬を開発しましょう。