延命と医療②呼吸管理

自発呼吸がない場合は、人工呼吸管理が延命手段となります。意識状態が悪くても、自発呼吸があれば、口や鼻からたまった痰を吸引し続ければ、理論上は永久的に口で息ができます。気道が大量の痰で閉塞したり、自発呼吸が不規則な状態で、人工呼吸を考慮します。呼吸器接続には、気道確保といって空気の道を安全に確保しなければいけません。気管内挿管といって、口や鼻から喉頭声帯経由で人差し指サイズの管を入れます。意識のある状態では、痛みと苦しみの地獄のような状態です。通常は鎮静剤投与で、寝かして人工呼吸と本人が格闘するのを防ぎます。人工呼吸装置は大人では一回に500cc程度の換気量で、その人の体格や肺の柔らかさなどでかわりますが、一分間に十数回という設定で、空気を規則的に送ります。生体反応として唾や痰がたまるために20分毎に吸引をしなくてはいけません。口からの気管チューブは10日もすれば管の周囲に感染が起きて、肺炎になります。物差しのような気管チューブを、口や鼻の穴から毎回やり替えるのが大変です。気管切開といって、のどぼとけの下を切開して、甲状腺をどけて、気管のリングに穴や切開を加えて、専用チューブを入れます。この管は短いので、家族でも訓練にて吸引可能ですし、チューブ交換も口から大掛かりに大々的に入れ替えないので、瘻孔化すれば、非外科系医師でも容易です。気管切開当日に、外れるのはご法度で、致命的事故になります。気管切開が完了すると、自発呼吸があって、痰の吸引をこまめに誰かがすると、非常に長く延命できます。さらに、酸素投与を追加すると、さらに長い延命になります。続く