宇宙飛行士の運命

Apollo Lunar Astronauts Show Higher Cardiovascular Disease Mortality: Possible Deep Space Radiation Effects on the Vascular Endothelium

ネーチャー:scientific reports 2016年7月

宇宙飛行士の心血管死亡率を調べた論文です。一度も宇宙に行ったことのない宇宙飛行士、地球の近くをくるくる回ったことのある飛行士、月に行ったことのある飛行士で比べました。心血管病死亡率は9%、11%、43%でした。宇宙被爆による血管内皮障害を説明に持ってきていました。50歳から65歳ぐらいの普通のアメリカ人が心臓血管死23%とのことです。健康に関する節度、運動能力と精神力のある宇宙飛行士ですので、健康体の中高年集団にあたるのでしょうが、月まで行ってしまうととたんに心臓血管リスクの中高年にかわるということのようです。月や火星に旅行しようとすると、56Fe produce complexなどという地上では発生しない、重金属放射能に耐えなければいけなくなります。宇宙船の構造や宇宙服による防御など研究され防御されても避けられないようです。無重力や放射線照射で筋肉重量が低下し筋肉長が延長することが知られています。また一酸化窒素に対する血管拡張の変化は無重力放射線の効果で悪くなっているという動物実験をのせていました。

その他興味深いデータありました。宇宙飛行士は退職するとスピード狂になるのか常人より事故死がものすごく多いようでした。航空関連業界ですから放射線被爆は常人より多いのでしょうが発がんは常人より少なめでした。

 

 以前の医療ドラマ特集で被爆関連で勉強したことを繰り返します。

各臓器の吸収線量をGyグレイという単位で表します。これに対して、放射線の種類や臓器の種類で係数を乗じて被ばく量の指標とするのがmSVミリシーベルトです。ガンマ線1グレイが1000mSVと考えてよいようです。胸部レントゲンが0.5-1mSV, PET検査意外に低くて1.0mSV、胃のバリウム検査も1.5mSV程度、CTは部位や範囲で異なりますが10~30mSV、心カテは1Gy、放射線治療は10Gyからです。自然界にもあります、動物も植物もあらゆるものから歯科放射線位の0.1mSV~でています。平地の一般生活でも、一年間で2.1mSVの宇宙からの放射線を受けます。高地、高空域、温泉などでまた受領する照射線量がかわります(放射線医学総合研究所から)。原爆投下直後は爆心地100mで70Gという、3kmでCT1回分という厚生労働省原爆放射線データありました。60日以内に3Gy以上あびて適切な医療処置をおこなわないと、致死率50%です。