僧帽弁の新デバイス

カテーテルによる僧帽弁手術①

僧帽弁は丁度、傘みたいに開閉します。開閉に関しては乳頭筋という筋肉が丁度、傘の骨格のようになって、開閉します。口を開けたり、〆たりするような、二枚構造です。この逆流がひどいと、収縮期に大動脈方向に、貯めた左心室血流を一挙に放出するだけでなく、二つ目の方向として左房や肺に向かいまして、息苦しくなります。逆流の原因は、若い人では傘の骨格が断裂したりするものもありますが、一般に老化現象や高血圧放置で、お口の真ん中からどびゃーと中心性に逆流が吹くものを、この論文などでは、二次性僧帽弁逆流と呼んでいます。シャワーを浴びてもドキドキするぐらいの、日常生活に支障のある、心不全を合併すると、厄介です。人工弁の取り換え手術や、弁を固定したり縮める形成手術をすると、僧帽弁の逆流がなくなりますが、左心室は困ったことになります。今までは左心室からの脱出口は二つあったのに、大動脈一つになるため、左心室に交通渋滞がきます。映画館から脱出する時に、今まで二つあった非常口が、一つになるようなものです。心臓と肺を停止させて、命がけの手術をして、さぞかし楽に左心室がなると思いきや、心不全になって、腎不全になって、多臓器不全で亡くなる可能性もあります。年齢にもよりますが、心不全のひどい人の、急性期に20%以上の死亡率があると手術前説明で言うことがあると思います。

 手術手技もまた微妙で、弁置換すれば抗凝固の血液サラサラのワーファリン一生とか、10年しか持たない豚生体弁とか。弁形成では、心臓止まった状態では逆流なしでも、心臓が膨らんで心拍再開したら高度逆流が新たに発生したりして、その場でもう一回心臓止めて弁置換手術とか。それで、誰でも逆流が止められるように、口の真ん中を縫い合わせて、二枚口にする手術がでて、そこそこ成績良好となったわけです。そうすると、今度はカテーテルで口をちょろっと閉じる方法を、現代デバイス産業は早速開発し、世界に広めようとしています。二つのニューイングランドの論文を勉強しました。