リチャード3世を探して

アルパチーノの映画でLooking for Richardから表題にしました

Identification of the remains of King Richard III Nature Communications 2014年8月号 論文の社会的影響指標altmetricsで科学の世界でも、マスメディアでも話題となったので、2015年はこれ読むべしとなって、ランキングトップ100に入った論文です。2012年にリチャード三世が戦死した古戦場近くの教会駐車場から、skeletal remains遺骸がみつかったようです。これを最新の鑑識、遺伝人類学的に学術調査しました。まずXY染色体あるから男性であると同定します。Y染色体のハプロタイプから父系を追ったのですが、子孫のそれと一致しません、父親は史実と異なる可能性があります。母系染色体検査は遺伝人類学的にはミトコンドリアDNAで行うようです(有名俳優 カンバーバッチも遠戚と判明)。受精時に精子のミトコンドリアは、融解雲散霧消するようになっているため、ミトコンドリア内に母系のDNAが伝搬されます。昔は精子の頭が卵子に入り込んでお尻は消失するから父ミトコンドリアが受精後に関与しないとされていましたが、現在はもっとすごいことがわかっていて、オートファジーなどが関与する大変複雑な神秘があるようです。母ミトコンドリア内DNAは母系子孫たちのそれと、完全一致したようです。またDNAから目の色と髪の色を特定する鑑識システムが、白人では数々の目の色と髪の色の組み合わせがありますので発達していて、これを用いて測定しまして、国宝の肖像画と一致しました。合わせて、検視も行い、高度の脊柱側弯と国王にして多くの刀傷との伝承と整合。新たに判明したのは、後世の醜悪な容姿とは異なり、側弯はあるがブロンド碧眼の肖像画通りの偉丈夫と判明しました。鑑識捜査結果のすべてをBayesian analysisという陽性、疑陽性、陰性、偽陰性を対比し最もらしさ(尤もらしい)(尤度)を測定する統計処理を行いました。ベイジアン関数と言われ、隠し子遺産相続裁判や海底に忽然と消えた潜水艦捜索などでも使われます。多ければ多いほど陽性とのことですが、600万という無限大に近いことから、beyond reasonable doubt(疑いの余地がない)、overwhelmingとの表現もありました。

100年戦争はプランタジネット→ランカスター朝英国vsフランスで、負けの込んだフランスが最後にジャンヌダルクで終戦の1400年あたりの話。そのあとプランタジネット朝→ランカスター朝分裂(ヨーク英vsランカスター仏)のばら戦争で、エドワード4世とヘンリ6世結局は英仏対立。エドワード4世勝利も病死し弟のリチャードがエドワード血統を一掃?し、ばら戦争最後に戦死、死体不明1485年。シェークスピアは1600年の人だが、誰か馬を持て さすれば国をくれてやるぞ は有名。その後がチューダー朝でヘンリ―7世(ランカスターの遠縁の王家の血は薄い)による御家勃興。この歴史を見るとリチャード3世のお父さんはだれかわからなくても、英仏、英英、王族同志で交雑して、血統を維持しているようで、大勢に影響ないように日本人には思えます。英語圏では、game of thrones大好きですし、戦国時代末期の群雄割拠の大悪役なので、盛り上がってしまったのでしょう。