メジャー論文でのプロバイオ

腸内細菌のまとめになる論文をふたつ。

Human gut microbiome viewed across age and geography nature2012年 614

南米のインディオの腸内細菌を、故郷の村、村を出て南米の都会に住んだもの、アメリカ移民したもので比較しました。地域差、年齢、また双子研究も加えています。UniFrac distancesというものを何万回の遺伝子分析からコンピューター診断して、腸内細菌のRNAシークエンスから血縁性、相同性を数値化する手法です。現在では酒造メーカーの研究室でもこの手法で、発酵菌の変動をチェックしているぐらいになっています。

〇小さいときはみなビフィズス菌の多い腸内環境が、年齢とともにかわる。バクテロイデスの多い環境は、米国移民に見られがちであった。プレボテラは米国外地域に比較的多い。

〇腸内細菌の多様性は、脂質リッチのせいか?ファーストフード文化のアメリカ移民において少ない

〇双子の幼少期は同一の腸内環境であるが、育つ環境によって変化する。母親の腸内環境は親戚同士では似ているが、血縁外では全く異なる。

〇アメリカ移民は大人から子供まで似たり寄ったりの腸内環境となる

〇民族性、血縁による腸内環境の、遺伝性は確実にあるが、文化圏の違いで大きく変化する。腸内細菌の多様性と変化は、育つ環境できまる。

The Human Intestinal Microbiome in Health and Disease

ニューイングランド2016年12/15

  • 〇Microbiomeは腸内細菌ゲノム、microbiotaは腸内細菌フローラ、プレバイオティクスは食物繊維、プロバイオティックスは生きている腸内細菌とそれを含む製品もさす。
  • 〇帝切時も授乳によって正常なフローラになる、オリゴ糖の重要性、10年単位で、幼児思春期成人でがらりと最近の銘柄変わる。
  • 〇フローラでビタミンB12,葉酸、アミノ酸システイン合成、ステロイドホルモン合成、短鎖脂肪酸は栄養や大腸壁の保全
  • 〇何らかの感染症でいったんフローラ崩壊すると、回復過程でまた幼少期のフローラから徐々に元に戻る。
  • 〇プレバイオティックス介入は短期間に効果が出ることがある。
  • 〇Gut flora metabolism of phosphatidylcholine promotes cardiovascular diseaseネーチャー2,011年4月、腸内細菌によってリン脂質レシチンからトリメチラミンができるがこれが動脈硬化に関連する
  • 〇バクテロイデスによる不安神経症 、これはまた調べます。
  • 〇二次胆汁、炎症産物と炎症性腸疾患
  • 〇免疫と発がん、花粉症と腸内細菌もとりあげます
  • 〇腸内細菌の研究はFを培養して顕微鏡でみるのではなくて、真核細胞のRNAを垣間見るシークエンス法(16SrRNAはクラリスがやっつける場所で有名だが、人間にない細胞のリボゾームRNAのシークエンス分析)などを用いてこの15年間で躍進的な解明。
  • 〇10年前からは実際の便移植も開始され、実用的なプロバイオ医療になっている。偽膜性腸炎治療