プロバイオ

プロバイオティックスに興味があります。乳酸菌製剤などはプレバイオティックスといいます。人に影響を与える、プロの細菌の力という意味がプロバイオです。大腸には兆の細菌がいます。大腸菌がたくさんだろうと思っていましたが、大腸菌など0.1%しかいなくて、その他は嫌気性菌培養でないと育たない未知の種族のようです。ごく少量のビフィズス菌とバクテロイデスを中心とした種族が跳梁しております。太古の昔からビフィズス菌が何かしらの善行をしているに違いないということで、ヨーグルトの会社や野球チームの会社が存続しているわけです。脂溶性ビタミンを作ったり、エネルギーを産生したり、その全体像は今後の、医学薬学生物学のブラックボックスです。いかなる種族が何をなしているかは、SNP :(Single Nucleotide Polymorphism)などの遺伝子解析の進歩でもまだまだ不明です。臨床応用では便移植なる、奇怪としか言いようのない短絡的手段しか今のところありません。乳酸菌を口から入れる、ヨーグルトも納豆も、胃袋で殺菌されてしまいますから、腸内細菌を良くも悪くもコントロールする方法は今のところありません。気道や皮膚の細菌群、腸内細菌の一連をフローラといって、お花畑という意味です。全身にあるフローラの面積はテニスコート数面の広さで相当量の遺伝情報が発生します。人間の遺伝情報と彼らの遺伝情報があわさって何が起きているのかを、数回、ランダムに勉強します。

Core gut microbiome in obese and lean twins

ネーチャー2009年1月号

双子の腸内細菌研究。家族で似通った腸内細菌がみつかるのはいいでしょう。遠隔で生活しても育つ腸内細菌は双子で同じであったようです。宿主と細菌とが遺伝環境でハーモニーを作っていると解釈しました。しかしながら、双子で一方が肥満、一方がやせている場合は、このハーモニーはなくなるようです。肥満の腸内細菌は全く異なる種類の腸内細菌になっている。界門網目科族種という生物の分類を生物で習ったと思います。門のレベルで異なるようです。育つはずのない遺伝子の腸内細菌に置き換わっているようです。クラゲと虫ほど異なる生物が腸内にわいたことになります。大腸内で幅を利かせているバクテロイデスが少なくなって、悪玉菌アシネトバクター(医療現場では弱った患者さんにまとわりつく、日和見感染の敵役)が多いようでした。

Prebiotics Reduce Body Fat and Alter Intestinal Microbiota in Children Who Are Overweight or With Obesity Gastroenterology 2017年9月号

ごぼう、タンポポ、山芋にふくまれるオリゴ糖豊富なイヌリンを8グラム、肥満の少年たちに食べさせると、体重と体脂肪を3%落とすことができたようです。体内の炎症所見と中性脂肪値が低下、RNA定量から腸内環境はビフィズス善玉が増え、かつて優勢であったバクテロイデス減少とのことです。玄米食や黒パンを食べたほうが良いというだれもがわかっていることが科学的に証明されていました。