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Achieved blood pressure and cardiovascular outcomes in high-risk patients: results from ONTARGET and TRANSCEND trials. 20176月3日

拡張期血圧70mmHg、収縮期血圧120mmHg以下は心血管合併症を増やす。ただし心血管合併症がある人全部に一律に降圧剤やったらこうなるに決まっていると思うのはぼくだけか。抄録だけ読んだら誤解する論文です。

Cardiovascular event rates and mortality according to achieved systolic and diastolic blood pressure in patients with stable coronary artery disease: an international cohort study.ランセット2016年10月29日

収縮期120以下拡張期70mmHg以下において心血管イベントが多かったという、欧米連合軍22000強のデータです。イベント前の血圧ということですが、22000の多勢の検討ということで信用しましょう。過度降圧を防ぐのは昔から脳出血や動脈瘤以外では臨床的に気を付けるべき常識ですが。特に拡張期血圧が高い人を無理に下げるのは気が引けますし、収縮期ばかり下がって、脈圧無くなってきます。90台ならオッケーという根拠になる論文として患者さんにも安心してもらえる論文です。拡張期100越えは薬の多剤併用でなんとかしたいところです。

 

Percutaneous coronary angioplasty versus coronary artery bypass grafting in treatment of unprotected left main stenosis (NOBLE): a prospective, randomised, open-label, non-inferiority trial 201610/31

左冠動脈という心臓の筋肉80%以上還流する領域において、風船循環器内科療法 vs 冠動脈手術 の科学的ガチンコ対決

左冠動脈系ではバイパスの方が5年生存がよく、心血管合併症少ない 1201人の検討。日本は国民皆保険の上病院が多く、手っ取り早くできる内科治療が普及しています。内科と外科の関係性などは外科が強ければ外科主導の治療法、内科強ければ内科治療法が優先されます。理知的なアングロサクソン医療で、国民皆保険の豪州の病院でも力関係で治療が傾倒するものであると20年前見聞しました。患者さんには選べませんから、どう考えていいかわかりません。先述した、僕の個人的意見なども一読されて、知識として持っておく必要あります。緊急事態やカテーテルで偶然狭窄が見つかって、その場で内科か外科かまな板で選択するのは、患者本人が神の手のドクターでも自分が患者になれば判断不能になります。