コロナの時代ー自助

南半球の8月の情勢が、インフルエンザなどの情勢を反映すると数年前のコラムでも申し上げていました。インフルエンザワクチンの銘柄はWHOにて新年早々に発表されます。これをもとに同じワクチンを、南北半球で季節に合わせて使用します。本年は、南半球の大都市ではロックダウンしていたため、厳冬期でのインフルエンザの流行やそのワクチンの効用はわかりません。インフルエンザとコロナとの相乗効果も南半球大都市の国民の自助とロックダウンにて判然としないわけです。

トランプ大統領が図らずもコロナに感染しました。決して負けない、Mr. I amなのですが、今回は忸怩たる思いでいたと思います。しかしアメリカのボスは病気やケガで弱音は吐けません。The great negotiatorのレーガン統領は暗殺未遂で胸部に凶弾を受けましたが、緊急手術時、医師団に“先生方が共和党員だったらいいのにね”とか搬送中の車のなかでは“ナンシーが心配するから内緒にしといてくれ”とかジョークを忘れません。MR.Americaジョン・ウエインも映画の中ですが、地上最大の作戦や騎兵隊では、致命傷にならない下腿に被弾します。ウイリアム・ホールデンなどの軍医による、摘出手術をも無麻酔で終えて、すぐに馬や大八車に飛び乗り戦線に戻ります。トランプ大統領は発症7日目の重症化の時を超えて元気になっているようです。持ってる人という言葉がありますが、元寇の闘いのように神風が吹いたのかもしれません。コロナはこんなに軽いと、トランプ閣下に言われたら、どんな有名な感染症の学者も反論できなくなっています。

日本は自助が義務になっていますが、日本人のトクイとすることです。言われなくてもやっちゃいます。満員電車で全員マスクをして、ひたすら沈黙を貫く姿は、世界に喧伝してよいと思います。発熱をしても、病院に飛び込んでくる人は一人もいません。医者は相当前から自助モードです。私は、ヒポクラテスの誓いを宣誓した医者の本懐として疫病に罹患してまでも、最善を尽くすべきと思っています。私が感染して、もし、普段の患者さんに感染させないためには、コロナに関しては己がN95マスクを着けておればよいのです。こうち医院では一回も発熱患者を断っていません。最大限の防護を半年かけて構築したので、最善のケアを発熱患者さんに提供するつもりです。関係先や、自分の受け持ち患者さんには、私からうつさない、職員からうつさない、院内環境からうつさないように、ピリピリしています。私のコロナの時代の自助です。