クリニカルケースes

クリニカルケースes 2018年9月号

48歳男性3週間続く、微熱感冒症状、発症前に突発性発疹の子供と接触しなんか風邪薬。多型の発疹が手足陰部に出現、CTやエコーで多発リンパ節炎、脾腫。血液検査で好酸球増加という所見でした。血圧まで低下してきて。なんだろう。好酸球が増加する病気考えよう。ハーバードの先生はとりあえず、癌、寄生虫、副腎機能不全、アレルギーを考えました。好酸球増加の病気でよくテストにでるのが、アレルギー性肉芽性血管炎(Churg-Strauss)。Löffler endocarditis,

答えは、DRESS症候群?でした。Drug Reaction with Eosinophilia and Systemic Symptoms (DRESS) Syndrome。Dressler症候群なら心膜切開後や心筋梗塞後の心膜炎胸膜炎で見たこと多々ありますが。原因はEB,サイトメガロ、や突発性発疹罹患に際して解熱鎮痛剤などの使用で起こると疑っていました。すでに免疫のある人でも、薬が契機となって再燃再感染のメカニズムもあるようです。微熱、好酸球数700以上、たくさんの蕁麻疹、皮膚生検で所見なく、肝脾腫伴う病態です。膠原病や肝炎やマイコプラズマやクラミジアは否定する必要があります。自然に軽快する病気です。

ウイルス感冒の微熱にすぐに解熱剤を投与しがちですが、2週間後から低血圧や脾腫や全身リンパ節がはれて、全身蕁麻疹に発展する病気があるというのです。

  1. 38度以上を目安に、解熱剤を使用するように決めるか、
  2. 風邪でも血液をとってウイルスか細菌感染かの鑑別、好酸球や単球が多くないかをみてから、解熱剤を使用するのか。
  3. こういう病気もあるので、解熱剤の使用は気を付けてねというか。

因みに

ヒトヘルペスウイルスの分類です。

単純ヘルペス(HSV1 口唇熱の華)、性器ヘルペス(HSV2)、HHV-3(水疱瘡、VaricellaZosterウイルス)、HHV-4(EBウイルス)、HHV-5(サイトメガロウイルス、病理でフクロウの目が有名)、HHV-6または-7(突発性発疹roseola)HHV-8(カポジ肉腫)

背伸びしてニューイングランドの症例報告読んでますが、HHV-6って何?で悩むわけですから、一つ斜め読みするのにも、骨が折れます。HHV-6は、赤ちゃん人生初の発熱で、高熱に続いて全身の発疹がでて、親もひやひやする病気ぐらいの認識でしたが、大人でもその潜伏ウイルスの再感染によって、上記の薬剤誘発性蕁麻疹、多発性硬化症や慢性疲労症候群や心筋炎になる可能性などが研究されているということもわかりました。