クリニカルケースes

ニューイングランド クリニカルケースes

2018年7月19日の症例報告、64歳のアルコール好きのよく転ぶおじさんで、貧血と低血圧で入院しました。入院して、ビタミンBの点滴をしても血圧が上がらず、ビタミンCの点滴をしたら血圧上昇という、ビタミンCはドパミンからノルアドレナリンを作るときに必須であることを認識せよ、壊血病では低血圧もあることを啓蒙するものでした。

おじさんは、痩せたくて昔胃袋を小さくする手術をしたようです。体重は20kgぐらい落ちたようですが、165㎝ぐらいで120kgの体型でした。食欲をごまかすために、ワインを浴びるほど飲んでいたようです。胃切後での壁細胞の内因子欠乏によるB12欠乏など胃がん大国日本でもみることのない、大きな赤血球の貧血がありました。アルコール→ウエルニッケ脳症による転倒、胃切ではビタミンD, 銅などの微量元素欠損もあるようです。

フェニルアラニンからの代謝を勉強しました。フェニルアラニンから補酵素(フェニルケトン尿症の薬にもなる、テトラヒドロビオプテリン(Tetrahydrobiopterin)、サプロプテリンまたはBH4)そしてチロシン(サイロキシンに枝分かれ)→サプロでドーパ(メラニンに枝分かれ)→ピリドキシンB6でドパミン→ビタミンCでノルアドレナリン→メチル基提供の活性化メチオニンことSAMにてアドレナリンと変化するようです。

この男性は一時酒を断ちましたが、数か月後には飲酒再開し、転倒を繰り返し、脳出血で亡くなりました。

痩せようという気持ちで手術をしたけど、食欲にまけて、離婚を契機にアルコール依存という哀れなおじさんの話でした。やりたいことは山のようにあったようですが、60台での早すぎる人生の終焉でした。

ふと、サミーデイビスjrの晩年の名曲を思い出しました。Mr. Bojanglesです。

I knew a man

Bojangles

And he’d dance for you

In worn out shoes

With silver hair

A ragged shirt

And baggy pants

He would do the old soft shoe

He could jump so high

Jump so high

And then he’d lightly touch down