クリニカルケースes-褐色細胞腫

クリニカルケースes

ニューイングランド症例2018年3月15日

55歳女性、甲状腺がん術後、甲状腺剤投与中。ジョギング後の冠動脈病変のない胸痛と冠逸脱酵素上昇、自然回復。4か月後スキーの後に、たこつぼ心筋症、低血圧でカテコーラミン(昇圧剤を)使用して、かえってショック、結局、鼠径の大腿動静脈から人工心肺まで回すことになった。ミルリノンなどを使用して、ようやく離脱。

診断は;褐色細胞腫によるたこつぼ心筋症、褐色細胞腫と昇圧剤による褐色細胞腫クライシス。

褐色細胞腫は、副腎髄質細胞からの昇圧物質産生しますが、その腫瘍です。10%副腎外、悪性10%、両側10%(いつも忘れるのでメモ→MEN IIAはPTA、MENIIB NATO,RET)、小児や家族性10%といわれます。診断は疑えば小水でカテコラミンを測ることで分かることがあります、高ければMRIで副腎をみたり、副腎やパーキンソンやレビー認知症で有名なMIBGシンチグラフィーで確定します。自分は高血圧患者さんで、女性やせ型でバセドウ鑑別いるか?、愁訴多い、頭が痛いことが多い、首が凝るなどという時は、必ず初診時は小水を取ります。ナトリウム濃度、カリウム濃度、蛋白量は保険に通りやすいです。アルブミンを測ると、糖尿病腎症でも、何故かバッサリ査定されます。そしてカテコラミンを一種類測ります、今のところ、褐色細胞腫疑いでバッサリされません。何十人でほんの数人ですが褐色を見落とさずに済みました。

上記は1回目の発作も、危機的な状態ですから、検尿で調べたほうがよかったのでしょう。二回目ではだれでも昇圧剤を使います。それで褐色細胞腫クライシスになってしまうという大変なことです。しかし、昇圧剤を切って、ミルリノンを使うという英断がすばらしいです。さすがハーバード大学。たこつぼ心筋症は、以前から言うように、嬉しい哀しいなど精神的負荷でかかる女性に多い一過性心筋梗塞的心筋症ですが、冠動脈異状ないのが特徴です。一度なれば二度とならないと考えずに、褐色細胞腫も原因になるということを勉強しました。クリーゼの時はα遮断剤の点滴をするようです。麻酔研修の時に褐色細胞腫手術で、これを用意、副腎静脈を縛ったら、もう点滴の心配は大丈夫などと先輩に教わったことを思い出しました。